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武龍伝  作者: とみぃG
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143 不穏な動き

式典が終わって各国首脳会議サミットが開催されるのは2時間後だ。移動自体は10分程度で終わる王宮から近い位置に国際会議場はある。

どちらにしてもこの区画は旧ローグのあった中心地でセキュリティーに関しては新ローグ市街とは比較にならない程厳重だ。


この旧ローグの区域は今は国の管轄エリアで全て国の施設となっている。元あった建物は全て取り壊しを行い区画整理をし直して区画ごとを広い道路で仕切っている。

見渡しを良くすることで防犯上の効果を上げているのだ。

各交叉点には衛兵が駐在しており常に監視体制にあるのだが今の期間は特に厳重警戒をしており普段の3倍の警備体制を敷いている。


サミットまでの開催時間までまだ時間があったのだがリュウに急な来訪者が訪れた。予定があった訳ではないが重要な内容との事でリュウが了解し来訪者と接見を行った。


来訪者はリュウと面識のある人物だ。


『あら、若様。お久しぶりでありんすね 。お元気そうで何よりでありんすぇ。』


現れたのはリュウと同じ流れ人で元花魁の弥生だった。今はリュウの計らいもあり歓楽街の組合長をしている。


『誰かと思ったら弥生じゃないか。どうしたんだ急に?それに花魁言葉は使わなくていい』


『そうでありんすか 。残念でありんすぇ。

久しぶりなのにつれないじゃないですか。最近めっきり会いに来てくれなくて寂しい思いしてるのですよ?』


『まさかとは思うが逢瀬のために来たとか言わないよな?』


『そうしたいところですが。ちょっと耳に入れて置きたい事がありまして』


今まで笑顔で話していた弥生が真面目な顔に変わった。


『そうか。それではここでは何だから場所を移動しようか』


弥生の態度を見て余程重要な事だと感じたリュウは場所を自分のリムジンホバーに変えて弥生を乗せた。


『これ、すごい乗り物ですね。はじめて乗りましたよ』


『ああ、ここだと誰にも話を聞かれることはないし安全だ。早速で悪いが話を聞かせてもらおう』


サミットまでまだ1時間以上はあるがリュウとしてもあまり時間が無い事には変わりないので弥生から単刀直入に話を聞かせてもらう事にした。


『はい、若様。今、下町で不穏な動きがあります。歓楽街の私の情報網に入った内容では元盗賊達が国家転覆を企てているかも知れません』


『それは初めて聞く。詳しく聞かせて欲しい』


『どうやら首謀者は私達と同じ流れ人らしいのですが、今の健全な社会に不満をもつ裏稼業の者達をかき集めて何やら噂を流して回っているそうです。若様に関する色恋話に関するものです。

それだけでなくローグ以外各都市でも拠点を作って反勢力組織の構成員を募っている様です』


『なるほど。そいつの名前はおそらく神楽元だ。奴め、今度は人間をけしかけて動かし出したか。しかも広範囲に渡っての行動とは尽く目障りな事をしてくれる。

それにしても弥生、良く知らせてくれた。この事は各国に通達を出して拠点解体に向けて早速動かすことにする』


『若様。ご褒美と言っては何ですが、今度時間を作って会いに来て下さいね。もう立派になられて雲の上の人の様なものですが、それくらいの我が儘は聞いていただけますよね?』


『ああ判った。事が解決して落ち着いたら顛末報告も兼ねて会いにいくよ』


『約束、確かにしましたよ』


リュウはこのままホバーを走らせて弥生を彼女の住む居住区まで送っていった。

ホバーでの移動なので10分も掛からない。更に今日はサミットがあるためローグ市街では交通規制を敷いており一般車両を走らせる事を禁止していた。もちろんリュウのホバーは一般車両でなく常に制限を受けることのないフリーパスの車両だ。


その後リュウは軍に寄り幹部の緊急招集を掛けた。集まったのは各部隊長と軍務大臣だ。ローグは警察組織が存在せず、その役割は軍が担っている。


『サミット開催前の要人警護で忙しいこの時期に招集を掛けて済まない。だが不穏な動きに関しての情報が入ったので皆に伝えて置かなければならない。


また神楽元が動き出した。今回はこのローグでの活動となっている。今、街で俺に関する噂が流れているのを聞いた者も多いだろうがこれらは全てこいつらの仕業だ。噂での撹乱は大した打撃はないだろうが、恐らく何らかの陰謀があるに違いない』


リュウの言葉に一同はざわめいた。


弥生から聞いた情報をここに集まった全員に伝えた。至急下町を含めた全地域に哨戒をするとともに最近新たに賃借された怪しい事務所や住居を徹底的に洗い出す様に指示した。


『構成員は元盗賊などの犯罪者だ。俺の支給したゴーグルで犯罪履歴のある者を色で表示させ見つけ出すことが出来る。これで犯罪者が集まっている場所を特定して欲しい』


リュウが魔族の識別で開発したゴーグルは犯罪者特有の負のオーラを識別出来るため人間にも効果が有る事を確認しているので役立った。


もうこれ以上奴を野放しさせておく訳にはいかなかった。

この行事が終わった後に神楽元達の掃討作戦を実行する事にした。


軍に行動指示を出した後に何事もなかったの様にリュウはサミットの会場である国際会議場へと入場した。


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