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武龍伝  作者: とみぃG
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136 トンネル開通

念願の南北の大陸を繋げる海底トンネルがいよいよ開通する。それぞれの側から掘り進め海底で繋げるというのは非常に難しい技術で緻密な測量技術を必要とするのだが、この世界にはGPSに匹敵する存在のクラリスがいる。

クラリスは修練で分身の技を身に着けており、二体に分かれてそれぞれの位置情報を補足し補正を行えたのだ。これがトンネル開通に効果をもたらすとはリュウも想定していなかったことだ。


南の大陸からはドワーフが北の大陸からはローグの職人がトンネルを掘り続けていたのだが、開通時にお互いの顔が見えた時には涙を出して抱き合っていた。

掘っていたとはいえ、手で掘っていた訳でなくリュウの造った掘削機で掘り進めていたのだが、掘削機はおおまかな穴を開けるだけで仕上げは人の手を加える必要があるのだ。それを数十キロメートルの距離も仕上げるのは大変なのだ。しかも地底の奥深くなので空調管理をしているとはいえ暑さと空気濃度の低さで過酷な環境下での作業だった。お互いこの苦労を乗り越えてきた戦友に近い連帯感があったからこその喜び様だったのだろう。


トンネルが開通したからといってすぐに往来できる訳ではない。

これからトンネルを整備して鉄道を敷く準備に入るのだ。

鉄道はリニア鉄道なので通常の鉄のレールとは異なる施工を必要とする。リュウの開発したホバーの鉄道版ともいえる列車を走らせるためフラットな路面を作る。鉄道車両には重力反射板を設置しておき常に地面から浮遊した状態を保つ。列車は直進走行するが中心を保つために路面の真ん中にはモノレールの様な小さい凸状のブロックを走らせている。


南北の大陸には駅の建設も既に終わっている。北の大陸はローグに隣接して駅が建てられている。

将来的にはローグから列車を乗り換えて各国へ鉄道を走らせる計画も進めている。これは既に工事が着工されており半年後の全面開通となる見通しだ。


南の大陸の駅はドワーフとエルフの領域の境に設けられた。駅を中心として一つの街が新たに作られた。

もともとこの地はリュウが初めて通った時には海岸線沿いに魔物が多く生息していた地域だったのだが、駅を建設するからと言って魔物を殺戮するのはリュウが好まなかったため、この地域の魔物は30キロメートル先の地域に全て移送したのだ。更に迷い込んで来ないために駅周辺十キロメートルにはフェンスと結界を施している。


南の大陸の駅は何故海岸に近い場所に建てられているかというと、内陸に行くに従い森の中を走らせる必要があり、そこに建設を行うと森林伐採などの環境破壊が伴うからだ。


リュウはこの森が民に与えるものが多く生命線となっているのだが、流通や交流面では遮るものとなっていることを解決したかった。

森林を伐採せず何か良い方法はないか?

考えた末に出た答えは道は木を切り倒して作るのではなく木の上に作ればいいじゃないかという事だった。

イメージとしては高速道路の様な存在だ。通常の施工だと橋げたを建ててその上に道を架けるという感じだが、橋げたが建てれるところはその方法で行い、木が遮る場所には木の上に通して木を橋げたの代わりとすることにした。木の上を通す場合は道を透明の樹脂ポリマー性のものにするこどで日照問題も発生しない。


樹脂で道路を作るというのは本来なら物凄く高価な代物となってしまうのだが、リュウの万物創生の複写機能を使って原型をコピーして大量生産することで資源を無駄に使うことなく道路を作る事が出来た。恐るべし神の技だ。

だが、万物創生というのは全く無のものを存在に代える魔法ではない。作るものの素材となるべく者は術者で用意する必要があるのだ。リュウは資源を魔の森と仙人界から供給することでこれを可能としているのだ。

そして魔の森は資源の宝庫で栄養豊富な土や鉱石が豊富にあり、仙人界では賢者の石が砂利の様に敷き詰めてあるのだ。


この高架道路計画はドワーフとエルフの協力によって進められている。どこを通すかなどは地元で決めてもらわないと利権が発生してしまうので積極的には加わらない方が無難なのだ。


高架道路が開通したら移動手段はホバーを基本で使ってもらうことにしている。人を運ぶホバーと荷物の運ぶ貨物ホバーの二種類がある。なぜホバーかと言うとホバーは直接道路と接することがないので高架道路を傷めることがないからだ。あとは移動時間の短縮というのもある。


リュウは各地の状況を視察して回った。

この調子だと来月には鉄道開通式が行えそうだ。鉄道の開通式の時期と同時に高架道路も一応開通させる目途が立った。


今後交流が盛んになるのでギルドも全国規模の展開となるだろう。

仕事の斡旋や交易だけでなく犯罪者の手配も全国規模で行わなければならない。いろんな場所に行き来できるということは犯罪者にとっても逃亡経路が増えるということになってしまうので手配を全国で行って網を張り巡らす必要があるからだ。


だが、リュウもその辺は考慮している。リュウの造る施設には識別装置が必ず働いている。交流が盛んになると同時に識別をはっきりと表す必要性を感じているのだ。一応北の大陸の人間であれば識票を所持しているのだがこれを全国レベルで展開し、それぞれの身分や懲罰表記を行うことで犯罪抑制に繋げたい考えだ。


『まったく。伯爵はどんどん私の仕事を増やしていくのね。何か手当を貰わないと割にあわないわ』


ギルドの会頭ナターシャがリュウと全国レベルのギルドの構想についての会議が終わった後でリュウに呟いた。


『でもこれが本来あるべき姿なんだけどな。ギルドも大きくなっていいじゃないか』


『ご褒美はあれでいいわよアレで』


『その件は俺だけでは何とも判断いかないから国王とも相談してくれ』


ナターシャは側室になるためいろんな手を使って攻め続けていた。最近ではリュウも拒絶に疲れ根負け状態になっている。

とはいえ、側室に迎えるかどうかは国の判断になるというのは事実だ。いくらリュウでも無暗やたらにという訳にはいかないのだ。

しかもリュウの側室希望者は今では数千人以上にのぼる競争率になっている。最近では各国の皇室や上位貴族といったところからもひっきり無しに来るので断る理由を考えるのが難しいくらいだった。


とは言え、リュウの功績は評価してもしきれないものがある。

いつまでも伯爵いう身分では不釣り合いではないかという声も多く挙がってきているのでそろそろ爵位の昇爵をしなくてはいけない時期にあるのも確かだった。そのタイミングで側室を増やすのが一番無難なところなのだが、側室選びでも悩む事となりそうだった。

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