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武龍伝  作者: とみぃG
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126 ソフィア

クリスの助言もありリュウは側室の四人を安心させるためにそれぞれと話をする時間を持つことにした。


その中でもクリスよりも以前に知り合ったソフィアとユリンとはそれぞれタイプが異なり思い出となる出来事も違うのだがリュウとしても特別感があった。


いつも控え目で上品なソフィアと素朴だけど人懐こいユリンとタイプは全く被らない。ソフィアはスラッとしたスレンダーな体に豊満な胸と男性なら一目見ただけで虜になってしまうだろう。

ユリンは逆に背が低く小動物的な可愛らしさがある。どことなくリスに似てるなとリュウは思っていたのだが、本人に言うと拗ねるだろうから言えないでいた。


この二人は友人で昔から蒼き大海のギルドの仲間として行動を共にしている。側室になれた時も二人同時に慣れたことを心から喜んでいた。


友達であり、姉妹の様な関係というのがリュウからみた二人だった。もちろんソフィアがお姉さんでユリンが妹だ。


そういう訳ではないがリュウはお姉さん的存在であるソフィアには信頼を置いている。何かあった時の助言を聞く際にソフィアは客観的に物事を観察することが出来てそれを的確に相手に伝える事が出来る。一見誰にでも出来そうなことだが、客観的という点でいえば

なかなかそうはいかない。どうしても贔屓というか主観的になってしまうのだ。


リュウと二人でいる時のソフィアも少し優等生なところがあった。リュウは以前からその事について気になっていた。やはりお姉さんでなくてはいけないという我慢があるんじゃないだろうかと。

今日はその辺についても確かめたかった。


リュウの屋敷はリュウの部屋は三階にあり、リュウとクリスの二人の寝室も三階にある。二階にはクリス、ソフィア、ユリン、エレノア、鈴鳴のそれぞれの部屋が並んでいる。

各部屋十二畳程の大きさで洋間となっている。部屋はユニットバスも備わっている。どことなくホテルの部屋という感じだろう。


ソフィアの部屋はクリスの隣で向かいにユリンとエレノアの部屋があった。鈴鳴は本人の希望で屋根裏部屋が特別に作られた。猫で行動する際にこの方が落ち着くのらしい。


クリスの部屋を出てソフィアの部屋へは隣の部屋なのでそれ程歩かずに済む。部屋が隣とはいえ、防音性も高い造りのため隣の会話が聞こえたりとかはしない。その辺はホテルのコストを下げた設計とは別物だった。


リュウはソフィアの部屋のドアの前に立つとノックをした。


『ソフィア、いるかな?』


中には人の居る気配というか物音らしきものが聞こえたがリュウの聴力が人並み以上だから聞こえたのだ。


『はい、少々お待ちを』


部屋の中から声が聞こえた。待たされる事もなくドアがすぐに開かれた。


『リュウさん、お帰りなさい。突然でピックリしましたよ』


『ああ、ただいま。急で悪いんだけど部屋に入ってもいいかな?』


『どうぞ、お入り下さい。どうしたんですか?急にかしこまって。おかしいですよ』


ソフィアは笑いながらリュウを部屋に通した。


『そうかな?まあしばらく留守にしてたからな。クリスにも皆が不安がっているからって言われてな。ソフィアにはアカデミーの件でかなり頑張ってくれたのにちゃんとお礼も言えなかったし』


『あの時は危なかったですね。でもリュウさんがちゃんと守ってくれましたから。

それに、変化した分身だったとはいえ、二週間も一緒に居られて私としては嬉しい時間だったんですよ』


『まあ、あの時は守らないとならない者が多かったからな。でも分身と一緒に居て嬉しかったとは知らなかったな。知らない人から見たら先生と生徒の禁断の恋みたいだな』


『もう、リュウさんったら。ふふふ、でももし今みたいに出会ってなかったとして、私が講師でトーマス君と初めて知り合っていたならどうなってたんでしょうね?やっぱり恋しちゃってたかな?』


『おいおい、年齢が違い過ぎるだろう。それにソフィアは真面目だからそんなリスクは負わないと思うぞ』


『あらそうですか?女は時として打算よりも危険な香りに惹かれる生き物ですよ。でもトーマス君もリュウさんだったから好きなだけでリュウさんじゃなければたぶん気にも留めてないと思います』


今日のソフィアはいつもよりも口数が多かった。やはり久しぶりに会えたのが嬉しかったのだろう。


『まあ、ソフィア。俺はあの時のお礼がちゃんと言いたかったんだ。ありがとう』


ベッドの上でリュウの隣に座っていたソフィアは急にリュウに抱きついた。


『お礼なんていいんですよ。私ずっと寂しかったです。リュウさんに忘れ去られているんじゃないかと不安で・・・会いたかったです』


リュウは上手い言葉が思い浮かばず無言でソフィアを抱きしめキスをした。

今回の訪問はクリスに言われて気付いて来たのだが自分は女性の気持ちに疎すぎると反省するリュウだった。きっと後の二人も同様なのだろう。


『ソフィア、寂しい思いをさせて悪かったな。でも、大きい仕事が片付いたからこれからは時間を作れるから』


『そうなんですね、よかった。それでリュウさん、お願いがあるのですが・・・私も子供が欲しいです』


リュウはいつか言い出すだろう思っていたが寂しさが余計に子供欲しさになってしまったのだろう。


『そうだな。俺達だけでは決められないから今夜相談してみようか』


『はい!私も早くあなたの赤ちゃん欲しいです!』


ソフィアはリュウに抱きつき濃厚な口付けをした。普段大人しいソフィアが大胆な行動をとるのでリュウは少し驚いた。


ソフィアが落ち着いたの見計らってリュウは部屋をでた。

ユリンはまだ仕事から戻って来ていなかったのとエレノアは食事の支度をしているので二人とは別の機会に話をする時間を取るとこにした。


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