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武龍伝  作者: とみぃG
112/222

111 魔都バレスへ向けて

翌日の朝は早かった。しばらく魔界を拠点とするため必要と思われる物資はすべて空間ポーチに放り込んだ。

いざとなれば空間移動でリュウはいつでもローグに戻れるので困ることはないのだが、リュウがいない場合も想定しておかなければならないので用心に越したことはない。


準備を整えつつ作戦の再確認も行った。

一番最初に行う事が魔都バレスでの拠点確保だ。その為に協力者との接触を指定ポイントで行う。


活動拠点を確保したらムーアは魔族の協力者達への招集を行い状況説明と今後の動きについて指揮を行う。


リュウとラナは夜を待って城への侵入を計る。魔城は街の東の外れにあり、街と魔城とは200メートル程の橋で繋がっている。

この橋の上では隠れる場所がない為見つかりやすいポイントとなっているので注意が必要だ。


魔城でラナの母親と妹を見つけたら即刻リュウが空間移動で3人を獣人の里まで転移させる。


ここまでが第一段階のミッションだ。


その後、リュウだけ魔都バレスに戻り今度は魔族退避計画の第二段階のミッションへと移行する。


第一段階のミッションではクリフの役割が無い様に思えるが、クリフは常にラナの護衛役に徹する。一番戦闘力が低く狙われやすいので護衛は不可欠だ。


日も暮れてきて準備も既に整ったのでリュウは3人に確認を行った。


『さて、そろそろ出発となるが準備はいいだろうか?魔都バレスまでは俺とクリフのホバーで移動する。魔界の領域からは光学迷彩モードでの移動となるので見つかることは殆どないだろう』


準備に対して特に異論がなかったので一行は二台のホバーに分乗して魔界を目指し出発した。

獣人の里から魔都バレスまでは直線距離で300キロメートル程離れている。ホバーでも4時間近く掛かる距離だ。


リュウのホバーにはムーアが、クリフのホバーにはラナが乗った。ムーアは二度目なので特に何もなかったがラナは初めて乗る得体の知れない乗り物にかなり興奮していた。移動速度も想像以上なので目を丸くしている様だった。


リュウはラナを後ろに乗せているクリフがどんな顔をしているのか見たかったのだがそこは武士の情で見ないでおいた。


休憩は1時間移動毎に取っている。バレスまであと50キロメートルの地点で最後の休憩を取った。


『よし、それじゃあ10分間の休憩とする。ラナ、ホバーの乗りごと地はどうだ?』


『この乗り物、すごく快適で素敵です!今まで馬とか馬車とかにしか乗ったことありませんでしたが、全然違いますね!いいなあ、欲しいなあ・・・』


『余程気に入ったみたいだな。個人の所有物ではないがクリフ専用のホバーなので乗りたかったらクリフにお願いしてみるといい』


『本当ですか!?やったー!ありがとうございます!』


さりげなくリュウはクリフ推しをするのだった。


『全員休憩しながら聞いてくれ。この先バレスまでは休憩なしで進むことになる。バレスには直接乗り込む訳にはいかないので1キロメートル手前で一旦様子を見ることにしよう。

それでムーア、バレスにはどうやって入る?』


『協力者との事前連絡で門番の中に協力者が数名おります。入門の際は彼らが手引きしてくれる手筈となっていますのでご安心下さい。皆、魔族ということを前提にしていますが、偽装の方はよろしいでしょうか?』


『うん、問題ない。俺の方で偽装の指輪を用意している。これを指に嵌めるだけで魔族に変化できる。ムーア以外の者にこれを渡しておこう。試してみてくれ』


リュウはクリフとラナに指輪を渡した。


『こうやって指に嵌めるだけですか?』


ラナは指輪を嵌めた。獣人の指は人間の指と比べて少し異なり、少し大きく毛も生えているのでリュウはラナに合う様に専用で作った。


ラナはムーアと同じサキュバスに変化した。どうなっているのか判らないのでリュウは大型の鏡を取り出しラナに見せた。


『わあぁ!可愛いです。こういうの憧れてたんですよ』


ラナはすごく嬉しそうだった。獣人ということで女性としてコンプレックスがあったのかも知れない。


『注意して欲しいのは、その指輪はあくまでも幻影を見せるものなので見た目は違うが接触すると元の身体というのが判ってしまうので気を付けて欲しい』


『そうなんですね。見た目だけですか・・・』


ラナはちょっと残念そうにしていた。


『クリフも試してみてくれ。俺とクリフはインキュバスにしてある。インキュバスはムーアの種族であるサキュバスの男性版と思ってもらっていい。サキュバスは男性を魅了し、インキュバスは女性を魅了するらしい』


リュウとクリフも指輪を嵌めてみた。サキュバスやインキュバスは人間に近い容姿をしているので変化としてはあまり変化はないのだが、顔が別人のものとなり小さな羽と尻尾が生えた。


『伯爵様、いつになく素敵です。普通サキュバスはインキュバスには反応しないのですが伯爵様が成されると非常に魅了されてしまいます』


魅了させるのが本職のサキュバスが逆に魅了されてたらダメだろうとリュウは思ったが言葉の中には些かリップサービスも含まれているのだろう。


そして最後の休憩が終わり一気に魔都バレスへと向かった。


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