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武龍伝  作者: とみぃG
109/222

108 合流

翌日、朝食を済ませてリュウ達は獣人族の里へ向かう用意をした。

移動はホバーになるがタンデムの二人乗りなので問題ない。

荷物は空間ポーチに収納した。

今回は救出が目的で戦闘メインではないのでそれ程荷物は多くない。


『伯爵様。目の前にあるこれは乗り物ですか?宙に浮いていますよ。どんな手品なのでしょう?』


初めてホバーを眼にするムーアは宙に浮かんでいるホバーを不思議に思った。とはいえ、リュウが持っているものはその全てが常識の範囲では考えられない物ばかりなので驚くのも慣れてきつつある。


『これはホバーという重力反発で浮く移動装置だ。まあ原理とか構造は省略するとしてこいつは無音走行が可能なのと迷彩機能で目立たず移動が出来るんだ』


浮くだけでも不思議なのに更に追加でいろいろ信じられない事を聞いてムーアは目を丸くしていた。その仕草もリュウにはドキっとさせられるのだが彼女の場合、計算してやっている可能性もあるのでスルーすることにした。


出発の時刻になったのでホバーの後部にムーアを乗せリュウ達は獣人の里へと目指した。


出発してすぐにリュウは背中の違和感に気付いた。いや、違和感というよりも柔らかい感触だ。


『ムーア、このホバーは振動や揺れがないからそんなにくっつかなくても大丈夫だぞ』


『お邪魔でしたでしょうか?私としてはこの乗り方が一番乗りやすいのですが』


どう見てもリュウにしがみついて胸がリュウの背中に当たっている。

胸も女性の平均以上あるムーアなので結構なボリュームが背中で圧迫されている感じだ。


『このホバーは自動航行で俺が運転しなくてもいいから危険はないが、密着しすぎなのはどうかと思ってな』


『ふふふ、サキュバスな私としては殿方の温もりを感じていると落ち着くのですよ。申し訳ございませんが少しの我慢をお願いします』


恐らくリュウが本心で嫌がっていないと知っているのだろう彼女の言葉には申し訳なさがなくどこか余裕を感じた。



少しゆっくり目で移動していたので目的の地点には丁度二時間後に到着した。既にクリフは待機していた。


『待たせたな』


『いえ、伯爵。時間通りです。正確無比な行動には敬服いたします。

その同行の女性が魔族の協力者でしょうか?』


『ああ、魔の森の収容所からの志願者でムーアという。しばらく一緒に行動するので宜しく頼む』


『ムーアと申します。どうぞ宜しくお願い致します』


ムーアは丁寧にお辞儀をしながらクリフに挨拶した。


『いやはや驚きました。まさかこんな美女が協力者だとは。それに魔族ということですが見る限り人間と変わりありませんね』


普通であればはやり同行する協力者と言えば男性を想像するだろう。クリフも例に漏れず驚きを隠せなかった。


そしてクリフの横には獣人族の協力者が立っていた。こちらも女性だった。


『ご紹介いたします。こちらは獣人族の協力者でラナさんです。ラナさんは獣人の里の族長の娘さんです』


『はじめまして。ラナと申します。私が狩りで留守にしている間に魔族達に母と妹を連れ去られてしまいました。どうしようもなく途方に暮れているところにクリフさんから声を掛けていただき非常に感謝しております。私に出来ることは何でもしますので宜しくお願いします』


獣人族というのは人間と獣の中間的な存在なのだが、体つきはほぼ人間で尻尾や耳が元の獣で顔が人間を少し獣っぽくした感じだ。

特殊撮影などでモーフィングという技術が使われるが、人間が獣に変化する様を映し出すシーンがよくあるがその移行する中間地点よりやや人間よりと考えると判りやすいだろう。



ラナは狐種みたいだが人間で言うとグラマーと呼べる体型をしている。胸やお尻など出るところは出てるが細いウエストで引き締まっている。健康的なグラマー体型だ。肌は残念ながら人間の様にツルツルではなく体毛で覆われている。


『クリフから既に聞いていると思うが北の大陸の貴族のタイラです。協力いただき感謝する』


里から二キロ離れている地点とはいえ、人目に付くとマズイので早速移動をすることにした。


里の門から500メートルの地点まで行き、木陰から門番の様子を覗いた。クリフに開発したてのゴーグルを手渡した。


『タイラ伯爵、これが言われていた識別装置ですか?』


『ああ、本来の目的からいろいろ追加しているが装着して門番を覗いて見てくれ』


リュウに言われるがままにクリフはゴーグルを装着し門番を見た。

視界には門番がターゲットされターゲットマークが白から赤に変わった。


『自動でターゲットを補足する様になっている。ターゲットマークが白から赤に変わったと思うが赤色は魔族を意味する。獣人なら緑になるはずだ』


クリフは目の前のラナに視線を移した。ターゲット補足がラナに切り替わりターゲットマークが緑になった。


『本当ですね。ラナさんはちゃんと緑になっています。それとマークのしたにあるCPと横の数字はなんでしょうか?』


『それはターゲットの戦闘能力だ』


『なるほど、それはすごい機能ですね』


クリフは再び視線をラナから門番に移し変えたが門番はCP400だった。先程のラナは350だった。成人男性より少し上といったところだ。


リュウはクリフへの説明をひと通り終えた後でムーアとラナにもゴーグルを渡した。


『これからこのゴーグルが大いに役立つこととなる。ゴーグルの横にボタンがあるが、これを押すと暗闇でも見える様になる。それと真ん中のダイヤルを回すとズーム機能といって遠くの物が近くに見える機能もある』


まだ外が明るいので暗視モードは確認できないが、ズーム機能を使ったら門番が目の前に立っている様に見えて驚いた。


『これは本当に凄い!!伯爵がどんなものを作ってくるか予想をしていましたが今回も私の想像力では到底想像しきれない優れた代物でした。いやあ、驚きました』


クリフがこれほどまでに絶賛するとは思わなかったリュウは苦笑いした。


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