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武龍伝  作者: とみぃG
106/222

105 魅惑の魔族

暫くしてロデムは協力者を連れてやってきた。

リュウは協力者が男(雄)だとばかり思っていたのだが、現れたのは女性だった。しかも魔族の筈なのにどうみても人間の女性にしか見えない。何かの間違いか偽装なのか?


『お待たせいたしました。協力者のムーアです。驚かれたでしょうが彼女はサキュバスなので人間に近い姿をしております』


『伯爵様。お目に掛かれて光栄です。ムーアと申します。伯爵様に心身ともにお仕えするのが私の願いでしたが、今日叶えられる事を大変嬉しく思っております』


『宜しく頼む。女性とは思っていなかったので少し驚いたよ。俺の事は知ってるだろうから改めて自己紹介はいらないだろう。それにしても人間の女性と変わりないんだな』


『はい、サキュバスは夢魔や淫魔と呼ばれる存在。殿方を誘惑して精気を吸い取るために妖美な恰好をしておりますが、伯爵様に仕えるのであれば節度ある奥ゆかしさがないと嫌われると思いまして、私なりに人の女性に近い容姿と所作を学びました』


『ほう、なかなかの努力家みたいだな。しばらく行動を共にすることになるがそれなら安心して同行させる事が出来そうだな』


ムーアは以前からリュウの役に立ちたいと自分に何が出来るか考えて本などで人間についてを学び、どう行動すれば好感を得れるかを勉強していた。


ムーアは銀髪のストレートで肩にかかるくらいで綺麗に切り揃えられており、髪留めが主張することもなくアクセントとなっている。

服装はエンジのドレス服だが正装というまででもなく纏まりのある清楚な感じを醸し出している。


リュウは最初ムーアを見てドキッとした。その容姿や服装、仕草がリュウの好みのストライクゾーンど真ん中だったからだ。

ひょっとして心を読み取ることも出来るのか?リュウはそう疑ったが、今は特に害となるものでもないのであまり意識をしないようにした。


『ロデムから既に聞いていると思うが、二日後に獣人の里に行き、その後魔界にも行くとこになると思うが、問題はないか?』


『はい、お任せ下さい。獣人の里も魔界も勝手知ったるところでございます』


『魔界は当然だとして獣人の里に何で詳しいんだ?』


『はい、それはお客さんが・・・はっ!いえ、ビジネス上の取引でちょっと・・・』


リュウは何となく想像がついたが触れてはいけないものとしてスルーすることにした。


『それではロデム、今回の任務が終わったらまたここに来るからそれまで受け入れ態勢の件、宜しく頼む』


『はい、畏まりました。ドワーフの皆さんもその時に来られるのでしょうか?』


『ああ、その予定だ。南北の大陸トンネルが開通したら自分達で来れるのだが、今は俺が一緒に転移しないと来れないからな。

今回の任務がどのくらい掛かるかわからないがなるべく早く決着をつけるつもりだ』


ロデムに今後の事を話し終わったので空間転移で移動するためムーアに近くに来る様に声を掛けようと思ったら既に隣に立っており、さりげなく腕を組んでいた。


『なんか心を読まれているみたいだな?』


『ふふふ、以心伝心って言葉があるじゃないですか。それですよ』


ムーアには読心術があるのかも知れない。サキュバス特有なのか女性のカンなのかわからないが迂闊なことは出来ないとリュウは警戒を強めた。

もっともムーアが反旗を翻すとか裏切り行為についての警戒ではなく下心とか変な事を考えている時に読まれると非常に不味いからであった。


ムーアを連れて一瞬でドワーフの里に転移した。


『驚きました。本当に一瞬で飛べるのですね。伯爵様、流石です』


ムーアは先程まで北の大陸の魔の森に居たのに遙か遠く離れた南の大陸まで飛んで来たのが信じられなかった。

それと同時に南の大陸に帰ってきたという懐かしさがあった。ドワーフの里と魔界では全然景色が違うのだが北の大陸とは異なる雰囲気というか感覚があるらしい。


リュウ達はドワーフで用意してもらった住居に向かった。

ドワーフにとっては命の恩人であると共に技術指導や様々な事で世話になっているため、せめてこれくらいはさせて欲しいとドワーフから申し入れしてきたのだ。


『伯爵様、どこに行っても好待遇ですね』


『まあ、それぞれで紆余曲折あってな。俺としては困った時はお互い様といった感じなんだが。


ところで、出発は明後日なんだがそれまでどうする?この部屋に居てもいいし、時間に間に合うなら外に出ても構わないが』


『そうですね。伯爵様はどうなされるのですか?』


『俺はこれから装置を突貫で作らないといけないから大忙しだ』


『それではお手伝いさせていただきます。お邪魔にならない様にしますので』


ムーアがどれくらい使えるのか判らなかったが、猫の手も借りたいという状況なので手伝ってもらうことにした。この猫の手はどこかの黒猫の手は含まれていなかった。あの猫が手伝うと手間が余計に掛かるというお約束があるからだ。


リュウはムーアが作業しやすい様に材料リストを作って必要な素材と材料の寸法などを記載した紙を手渡した。

ムーアはそれを見ながら淡々と材料を揃え、加工をしていったのだ。


この手際の良さには驚かされた。


『ムーア、以前にこんな仕事したことあるのか?想像以上に手際がいいぞ?』


『伯爵様に褒められてうれしいです。でも、この様な作業はしたことありませんよ。伯爵様の指導が良いからですよ』


ムーアのお蔭で急ピッチで進める筈の作業が余裕を持って作れる様になった。

何をやらせても卒なくこなすムーアなら料理とかも出来るのだろうか?

ちょっと興味があるリュウだった。


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