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武龍伝  作者: とみぃG
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100 外交問題

アカデミーの体験入学は予定通りとはいかなかったが、無事終了を迎えた。魔族の襲撃は各国に知るところとなり、状況説明と今後の対策について各国の代表がローグに集まり協議することとなった。


体験入学の修了式も行われた。領主の挨拶の後にリュウが挨拶をして締め括った。


たった二週間の短い期間ではあったが、生徒達はお互い強い絆が生まれた様だ。異なる国同士の若者の交流が盛んになれば争い事も起こりにくくなるので今後の若手の活躍に期待をした。


生徒達は今回の体験で非常に得る物が多かったみたいだ。本来ならあれだけの体験をすればトラウマになるところだがチームとして使命感を持って挑んでいたのが良かったのかも知れない。


生徒のほぼ全員が正式に入学することとなった。

トーマスと同じパーティだった4人もそれぞれの道に進むこととなった。


カルロス、テレサはハンター養成科、ヨシュアとカーラが戦術科を目指す。



修了式を終えた後、領主とリュウは官邸へと足を運んだ。

領主と五大臣で今後の方針について相談することとなっていたからだ。


今回の魔族襲撃は予想外の事だったが、その気になれば魔族はどこにでも出没するという事が判った。また、戦力としても侮れない程のものがあることも同様だった。

マキワでは精鋭部隊がいるので撃退することが出来たが、他の国をターゲットとされた場合、深刻な状況となることは明白だ。

各国としても軍備を増強する必要があり、そのためにはマキワに協力を要請することとなる。


今後マキワの技術や支援が必要不可欠な為、今回の事件をどうこう言う国はないだろう。むしろ関係を密にして自国を有利に進めたいと思って行動をとってくることも想定される。


各国の交流を深めるために交通網の整備も急がれる。リュウの提案している高速鉄道を敷く事が第一弾となりそうだ。

並行して幹線道路の整備も着工していく。


会議ではその様な内容についてそれぞれ話し合った。


当然マキワだけで内々に決める訳にはいかないので各国へ招集をかけ、2週間後に代表者会議を開催することで話がまとまった。


『それにしても婿殿・・いや、タイラ伯爵の思惑通りに話が進んでいるのには驚いたよ。共通の敵が存在することで通常なら何年も掛かる国同士の交流が一気に進むという予測通りになった』


『そうですね。ガゼフ帝国がどう動くか判りませんでしたが、特に反対派が動く訳でなく足並みを揃える事が出来てよかったです』


『後は南大陸とのトンネルの開通だな。ローグでの受け入れ態勢も進めているのだが人間以外の種族との交流はどうなるのやら』


『最初は交流のあるエルフやドワーフといった人間に近い種族なので違和感はないと思います。慣れた頃に獣人族との交流が開始されるのが理想ですね。そのためにはまず私が獣人族との交渉をしないといけませんが。これはトンネルが開通した後に行いたいと考えております』


運良くエルフとドワーフとは友好関係を築く事が出来た。特にエルフは人間嫌いと言われてきた種族だけにリュウも月日を掛けて少しずつ進展させるつもりだったので拍子抜けとも言っていい。

獣人については未だ見たこともないのでどの様に対処していいか情報不足のため先ずは情報収集から入る必要がある。


官邸を後にしたリュウは自家用ホバーの車内からクラリスを呼び出した。


『クラリス、獣人族に関して何か情報はないか?』


””はい、マスター。獣人族に関しては既にマスターがご存知の情報から補足出来るものはありません。

推測の範囲についてでもよろしいでしょうか?””


『うん、判断材料としたいので頼む』


””承知しました。獣人族の居住地域は魔族の拠点、魔界の西側に位置し他種族よりも魔族に近い位置にあります。一番最初に狙われるべき場所であり、魔族と獣人族は人種族と相反する種族として近い存在にあります。可能性としてですが、単に攻撃対象とするだけでなく、魔族の戦力として従属させている事も考えられます””


『なるほど、それについては考えが及ばなかったな。従属させるにはマインドコントロールだけでなく人質を取って従わさせるという手段もあるしな。魔族でなくても人も旧くからとってきた卑怯とも言えるが有効な手段だ』


””はい、マスターの住む世界でも長年続いた江戸幕府での参勤交代制度がそれにあたります””


『俺たちとしても無理強いして戦わされてる者を殺めたくないからな。まずそういった事が行われているか密偵を送って調査させよう。


クラリス、諜報部隊のクリフに連絡をとって欲しい。至急自宅に来て欲しいと』


””承知しました””


リュウは諜報部隊の隊長クリフを自宅に呼んだ。クリフは遠征任務から戻ってきていたため15分程で現れた。


『ご無沙汰しております。タイラ伯爵。ご健勝で何よりです』


『突然呼び出して済まない。緊急でクリフに頼みたい事がある』


『何なりとお申し付け下さい』


『南の大陸に赴いて獣人族の動向を調査して欲しい。推測の範囲なのだが、魔族の戦力として人質を取られて魔族に従属させられている可能性もある。獣人族とは今後友好関係を結びたいと思っているのでなるべく敵対はしたくないんだ。

その様な気配がなく魔族から攻撃を受けているだけなら、それはそれで援軍として助太刀をしないといけない』


『承知しました。どうやって彼の地へ赴いたらよろしいでしょうか?』


『俺の転移で南の大陸のドワーフ居住区までならすぐに連れていけるのでそこからは自力でホバーを使ってくれ。人間の姿を見られると警戒されるので狼種の獣人の変装をこの指輪で偽装して欲しい』


『今回も伯爵には至れり尽くせりで大変恐縮です』


『いつも無理なお願いばかり聞いてもらっているのでこれくらいの事はさせてもらうさ。

出立は明朝6時。場所はXポイントで』


『畏まりました』


リュウはクリフに状況を調査した上で獣人族に対する支援をどの様な形で行うかを決めることにした。



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