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心の重荷

作者: 寿祷 郁也

頭に浮かんだことをつらつらと書き連ねただけのものです。文章的に要領を得ない部分や不可解な場所があるかもしれませんがご容赦ください。

 暗い部屋。光源と呼べるものがおよそ月明かりしかないこの部屋で僕はベッドに寝転がって窓から空を眺める。明るすぎる満月の光はなぜか悲しげで。だから僕は涙を流した。昔から人の心が分かってしまう。けれどそれは悲しい想いばかりで。嬉しいとか楽しいという感情は何一つ伝わってこない。どんな時も僕の心は他人の悲しみや寂しさで満たされていて。だから僕も嬉しさも楽しさもわからない。なぜみんな笑っていられるのだろ。心にこんなものを抱えているのに。深い悲しみやどす黒い感情を抱えているのに。

僕しかいないはずの部屋で物音がした。起き上がって振り返るとそこには少女がいた。向日葵のような明るい笑顔を見せる少女は唐突に僕に近づいて僕を抱きすくめた。その瞬間流れ込んできた感情は僕の知らないものだった。

「暖かい・・・?」

僕は思ったことを口に出す。

「そうでしょ?これがあなたがこれまで感じてこなかった、いえ、感じることを許されなかった感情よ」

僕は少女が何を言っているのかが分からなかった。

「あなたは人の心を知ることができる。私と同じ」

そういって彼女は僕を放した。

「あなたは人の悲しみを、マイナスの感情を知ることができる。そして私は喜び、プラスの感情を知ることができる」

彼女はぽつりぽつりと語り始めた。

「辛かったでしょ?だってあなたは私が暖かいと感じていた分だけ寒かったんでしょう?」

僕の手を握りながら彼女は微笑む。その手は今まで感じてきたどんなことよりも暖かくて。そこで初めて僕は彼女からは悲しみという感情が伝わってこないことに気づいた。

「あなたが抱えていたものの半分、私がもらうわね」

優しく言う彼女の手へと僕の中にあった悲しみの感情が流れていく。

「半分こ、よ。悲しいことも、嬉しいことも」

少女の向日葵のような笑顔はいつの間にか満月の輝きのようなものに変わっていて。そして変わらず空にある月は今まで見たどの月よりも優しさに満ちていた。

「人は一人では生きてはいけないの。みんな一緒。どんな感情も、一人で持つには重すぎるの。だから分け合うの。一人で抱えてたら潰れてしまうから。あなたはもう十分頑張ったわ。だからゆっくりお休み」

その声と同時に僕は眠りに落ちる。

 目が覚めた時、外はまだ暗かった。でも空に月はなく少女の姿もそこにはない。ただ一つ変わったことがあるとするなら僕の中に満ちていた悲しみたちが身を潜めていることくらいだろう。自分の中にある暖かい想いを抱いて僕は涙を流す。ただその涙は悲しみの涙ではなかった。

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