第91話・バレエコンクールの評価シート、アドバイスシートの考察・後編
著者注記::今回の話は以下のブログのアドバイスシートのページから項目を一部引用、かつ大人バレエ視点で書かせていただきました。https://ameblo.jp/mrb-ballet/entrylist.html
前話は場当たり的な前振りです。アドバイスシートの内容に踏み込んでみます。
バレエは総合的な芸術でもありますので、簡素な評価項目でもその中身は濃いはずです。
テクニックはもちろん、身体的な適応性、基本に忠実でありながら無個性でもだめ。芸術性や表現力も大事です。漠然としている、つまり数値化はできないものの、そういうものが評価されるということです。きちんと踊ろうとするバレエは本当に厳しいものだと痛感します。五段階評価、三段階評価、点数、A+、A,A-、B~E-までのアルファベット表示などいろいろな形で現れるようですが、どのバレコンでも項目は違えども中身は一緒のはずです。それを思えば当日の体調で出来不出来は、関係があるようで関係がないともいえます。
また芸術作品というわけで審査員との評価が全然違ったりもありえる話。審査員には芸術性重視、もしくはテクニック重視の先生もあるかと思います。入賞できずがっかりしていると、後日審査員から連絡があって詳細な評価を教えてくれた上留学をすすめられた、ということもあるのでバレコンの真実の評価と出場者に対する評価は一つだけの参加ではわからない。それに皆若いですし、将来性は皆等しくあると思います。
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ある評価シートは六段階になっています。六が一番よいです。つまり一から六まで数字は六種類しかなくとも、幅があるってことです。ちょっと古風な書き方も面白いとおもったので書いてみます。項目はいろいろありますが、全部書くとどこのかばれてしまうので、ここでは省きます。
成績が一にマル …… 取得し始め
成績が二にマル …… 努力が見える
成績が三にマル …… 年相応にできている
成績が四にマル …… 完成しかけている
成績が五にマル …… 完成している
成績が六にマル …… プロ級
あらかじめシートに③と印刷されているので大部分が年相応にできているということになります。ほかの数字にマルがなければ、自動的に③になる仕掛けです。小さな子供からシニアまでこの一枚で評価できるようになっていて、上手に考えられていることに感心しました。参加者はもちろん⑥を目指すでしょう。③でもがっかりしないように、傷つかないようになっていますが。④が一つでもあれば、うれしいでしょう。
ただし例外あり、私のような熟年の大人バレエには③の年相応云々はだめですね。おそらく①か②になるかと思います。評価シートを書いてあげようかという時点で御の字かも。
バレコンの参加は若いほどよいということの表れかと思います。
生徒を積極的にバレコンに参加させる先生によると、基本に忠実な子の踊りは審査員の評価には幅がない。逆にムラがある子は評価にばらつきが当然ある。長い目で見るとバレコンでは不利だが、プロとしてやっていけるかどうかとは別問題らしいです。審査員もまた体型重視、基礎重視、テクニック重視かどうかで評価も変わる。バレコン参加者は全員が成長期の子供なのでどう化けるかも予測がつかない。だからその時々の成績が良い悪いはあまり意味はないということ。
一番の重要事項はバレコン参加者がバレエが好きかどうか、ということにつきると思う。が、これは肉眼では見えない。評価が仮に最低だとしても、バレエ好きならば続けることで輝きが増すはずです。私事になりますが過去のワークショップであるコリオグラファーから、冗談ぽくあなたは変わった踊りができるダンサーかな、と言われたことがあります。上手な振付師はどういうダンサーでもその人の好さを最大限引き出して使いこなすといいますので、何かのインスピレーションがわいて、へろへろ踊りをする私を使いたいと思われたならば、大変光栄だと思いました。(仮にお世辞であっても良いほうに考えてとっています)馬鹿とはさみは使いようとかいうじゃないですか、アレです。
こういった幼いころから先生から見放されたへたれでも、長らく続けているとこういうバレエの神様からのご褒美がいただける。評価が最低でもバレエが好きならば私のように細々とでも続ければよい。これにつきると思う。
バレコンに出るからには金賞や入賞を目指すという人には全く参考にならないエッセイで申し訳ないですが、私のように日々をバレエとは関係のないことで過ごし、たまのレッスンで更級日記のように「妃后の位も何にかはせむ」 と、踊れる喜びを感じるのも幸せなバレエ人生かと思います。
もちろんプロめざしてバレコン受賞に焦点を絞り、日々レッスンに励む子供たちには心からのエールを送っています。バレエは踊って楽しい、見て楽しい。他人の踊りを見て得ることもたくさんある。バレコンに縁がなくてもいい。バレエさえ踊れたらそれでいい。そういう人は仮にプロになれなくとも、マイペースで自己研鑽に努め長じて幸せなバレエ人生を歩めるはず。
今回評価シートのことを書きましたが、ついでに飛躍した近未来の話。私はいつかバレコン経験がないがカリスマ性のある野良猫ならぬ野良バレリーナが出てくるのではないかと思っています。有能なコリアグラファーとタッグをくんでね。わが国にも小さな劇団がたくさんあるように小さなバレエ団があっても良い。その方がバレエ界もより活気がでるはず。と書けば怒る人がいるかな……以上どこにも属さない野良バレエ好きの戯言です。




