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第90話・バレエコンクールの評価シート、アドバイスシートの考察・前編

 今回はバレエコンクールの話。以下バレコンと略します。

 バレコンに参加者すると、審査終了後に審査員からアドバイスをもらえるところがあります。それがアドバイスシート、もしくは評価シート。時にはジャッジシート、単純に審査表というところも。日本はバレコンが乱立気味で名前は統一していないです。

 私はバレコンに参加はしたことがないので、どんなものかわからず興味津々でした。一生縁がないと思っていましたが、最近は熟年でも参加できるバレコンも出てきてはいますので、今生の思い出に一度ぐらいは出場して、参加賞代わりのアドバイスシートをもらって葬式の時のお棺に納めてもらおうかと思っているところです。

 ただこのシート、お教室経由でコンクール終了後に郵送するところも多く、先生の考えによっては出場した生徒本人に見せないところがあるようです。たとえ、親が見せてくれと言ってもです。法的には所有権はお金を出した親と踊った本人になるだろうけども。その是非について私は論じる立場ではないので、ご承知ください。

 なお評価シートに関しては私はバレエがらみでは一切ないが、実はいただいたことはあります。小説の公募です。小説作品をアルファベットやプラス記号で数値化されるというのは、出版業者からみて売れるか売れないかという指標で、その出版社の求めているものと己の作品への己の評価との乖離が身に染みてわかるしかけになります……正直今もがんばってますが現実はなかなか厳しいです。

 小説の場合はキャラクター、ストーリー、構成、アイデア、オリジナリティーなどの項目が並びます。それで出版社の目にとまって無事受賞して鳴り物入りで出版しても本は売れないらしい……私の作品が納められた本もベストセラーじゃないし……え~とまた話がそれました。前置きはここでやめてバレコンの話に戻ります。


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 バレコンによって項目は当然違う。三つ書いてみます。もちろん固定ではなく、バレコンごとに特色のようなものはあるかと思いますが、どこでも段階ごとにマークもしくは数字があり、そこにマルをつけるようになっている。どの項目も重要なことです。気品があって美しくかつ基本に忠実その上でテクニックが際立ってはいる。バレコンは個性の項目がないのは一貫しています。論じられなくとも突出しすぎない個性、同時に「個性的」 はいけないが、同じ踊りでありながら個性も必要というのは実に難しい。「滅私」 でありながら自分を出して踊るのは至難。芸術性というのは一体なんであろう。誰にもはっきりと確定できない漠然としたものがそこにある。それをまだ若いバレリーナの卵のわずかの時間で将来性を判定する。だからバレエは難しい。導く先生も審査員との相性もかかわってくる。生徒はメンタルをしっかり鍛えないといけませんね。それではいきます。


 Aバレコン

、①ポジション、②テクニック ③表現性


 Bバレコン

 ①音取 ②姿勢、方向 ③テクニック ④舞台の使い方


 Cバレコン 

 ①舞台の出方 ②つま先 ③ひざ ④ポルドブラ ⑤足 ⑥ターンアウト 

 ⑦音楽性 ⑧舞台マナー

 

 どのバレコンでも評価シートがいただけるところは、たった一分前後の短い時間の踊りで審査員が書いてくれる。時には評価シートの上部、もしくは下部に審査員の直筆の走り書きコメントがつくこともあります。ちょっと厳しいことを書かれたり、褒め言葉をいただいて励ましにもなったり……実際の参加者だけのオンリーワンコメント。大変に貴重なものです。


 上記三種類のシートのうち、審査する側としてはCバレコンの七項目は大変です。マークヒート方式もしくはマルを付ける方式だがどうだろうか。一人で七項目、一分前後の踊りで見極めることができるのか。過去私は振付師が舞台を俯瞰して別々の方向に踊っていたダンサーたちに細かくダメ出しをしているのを見たことがあるので、審査員には私のような一般人にはわからぬ超人的な眼力が備わっているのでしょう。

 基本のどこを見るかは、どこのバレコンでも一緒のはずです。バレコンの入賞に常連がいるのがそれを物語る。彼女たちはどこへ行ってもきちんと踊れるということの現れです。つまりどこの舞台でもきちんと踊れますということ。プロになると体調管理も仕事の一つになるので、生理です頭痛ですなどの言い訳が通じませんので受賞歴が多いほど将来プロとしてやっていけるという自己アピールにもなるかと思います。 

 入賞しなくとも大事にとっておいて、審査員は踊りのどこを見てほめてくれたか、どこを直せばよいかを指摘してくださったわけですので、普段レッスンをつけていただく先生がそれを見て、より上達を目指せばよいかと思います。バレエをやっていた記念や思い出作りにバレコンに出たという人でも、評価シートを励みに頑張るのも楽しいと思います。それも若いからできることですしね。

 バレエを知らない人が例えば黒鳥のヴァリエーションが続いて同じ踊りで飽きたりはあるでしょう。しかし見る人が見ればやっぱり違いがわかるということです。私はバレエ動画を見るのも好きなので、同じバレコンの同じ演目で入賞者が続くと、やはり上位と下位はどこが違うのかと何度も繰り返して見ます。私の目ではわからないことも多々ありますが、プロから見れば一位と二位の差は大きいかと思います。小説の公募の最終選考では意見が分かれて審査会場が険悪な雰囲気に満ちたという話をきいたことがありますが、バレコンの場合でもそんなかんじだろうか。

 それぞれのチェック項目が違ってはいても基本ができているかどうかと舞台マナーがきちんとできていることが一番重要です。ある審査員の先生はシニヨンヘアやポワントのひもが見苦しくないかまでチェックするとか。そういえばオーディションの時間前に集まってストレッチするのは当たり前ですが、審査員がそのストレッチ時間に出て隅っこで生徒を眺めていたことがありました。そりゃあ普段からのバレエに対する姿勢やら意気込みやら丸裸で全部わかっちゃうってことです。審査する方もされる方も大変です。


                           続きます…









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