第80話・コンテンポラリーのレッスンを受けました。
私はこちらのエッセイでコンテンポラリーは苦手、意図がわかりにくい、つまんないなどと言いたい放題書いておりました。それでも近年のコンテンポラリーの活躍はクラシックバレエ分野を食い散らかす勢いがあり、ちょっと無視できません。
皆さん、コンテンポラリーってそんなにいいものですか?
とまあ、クラシックバレエ大好きな私も、機会あれば好きになってみたい思いもちょっとはあります。そんな時に、コンテンポラリーのワークショップの告知があり、参加してみました。今回はその話です。
前回がちょっとおもしろくなかったので恐々という感じです。退屈したらどうしよう、つまらなかったらどうしよう、やっぱり相性が悪いのかと確信したらもうコンテンポラリーはやめようと思っていました。(詳細は、「第57話・創作バレエのレッスンを受けました」 をご参照ください)
今回の先生は男性。この先生も海外のコンテンポラリーバレエ団の出身です。一応バレエダンサーの範疇に入る人ですがさて、私はどうなるか。ついていけるのか。
結論を先にいうとやっぱり苦手で、上手に踊れませんでした。しかし前回よりは退屈しませんでした。またいろいろと感じることもあったので今回はその話です。レッスンは、先生との相性があるので不出来な生徒であっても生徒側にとっては当たりはずれ大きいです。逆に先生も生徒のあたりはずれもあるだろうとは思いますが。
前の時もそうだったのですがバーレッスンなしでした。別の所でコンテンポラリーレッスンを見学した時もバーは供え物で、グランプリエなしのストレッチなしでいきなりクラシック無視の腕動かしだったので、うわあそう来たか、そうですかというかんじでした。
本日の参加も、バーなし。最初は身体をほぐしましょと音楽を流してその場で踊る。ほぐしましょ、ならばストレッチかと思ったのですが、いきなりほぐしながら踊ります。
そしてそれを段々と行動の場を広げる。踊ろうが踊れまいが関係のない振付。先へ先へ。どこまで行くのですか、先生?
以前の別の先生のレッスンと決定的に違うのは「◎◎をイメージしてほしい」 という言葉が一切なかったこと。先生の振付には迷いというもの、生徒のレベル的忖度、思考や踊りの指示も一切なし。多分それが、この先生のポリシーでしょう。ごく普通のクラシックバレエのセンターでは先生の指示に従ってきちんと踊るものですが、このコンテンポラリーもそうでした。つまり、私の振付に一切そっくりに踊れ。「その通りに踊れ」 というもの。違うのは踊る位置を指定されないこと。どこでもいいみたい。
最初足六番、そこから前後に動き次に左右、回転も入れる。手の動きはバレエ風ではなくかといってヒップホップのような脱力系も少しは入るがまるっきりそうでもない。四番からピルエットではなく変則的二番から足を少しだけ前に倒したピルエット。難しい……そんな変わったピルエットしたことがない。私はあたふた。そんな不思議な振り付け。
そういやここは、私のような大人バレエらしき人は一人もいないところだし、思いっきり場違いなところに迷いこんでしまった。後悔の渦が私を襲ってきたが今更帰れないので腹をくくる。
軸くずしてくださいと何度も言われる私。軸をまっすぐにするのが沁みついているのですね。
先生は自由自在に身体が動く。同じ人間のはずなのにちょっと手と首を傾けただけで踊りになっているなんてすごい。感心してみていると、にこりともせず仏頂面で生徒を見回して「ハイやってみて」 です。
生徒たちは見様見真似で一生懸命やります。若いコはさすがに覚えが早い。上手な男の子たちは先生と一緒にポケットに両手をつっこみながら一緒に足を動かす。カッコいいわあ……。クラシックバレエレッスン御用達みたいな無地のレオタードにパンツ、バレエシャツを着ていた私は完全に浮いていました。ダンス用スニーカーというのでしょうかアレを履いてないのも私一人。バレーシューズなんて私だけです。
失敗したと思いましたね。参加してごめんなさい。いるだけでレッスンの邪魔かも、ひえええ。
同じく初心者のかわいい女の子たちと後ろでひとかたまりで先生の真似をします。やだなあ、浮いている私。せめて容姿で浮かないように切実に若返りたい。
クラシックバレエ独特の振付もありながらヒップホップのあの脱力系も入る不思議系コンテンポラリーバレエ。こんなの振付られるんだ。見るのは退屈だろうが、踊るのは難しい。という感じかなあ。
しかしコリオグラファーでもあるダンサーのその感性。やはり独特のものがあります。
仏頂面で一緒に踊る奇妙なカッコよさ。しかし私のような年寄りにはムリかなあ。先生は親切でも不親切でもない。自然でした。
「ハイ、やってみて」
見て覚えてくれ、
あー、そこ苦手っすかね、
しょうがねえなあ。
じゃもう一回ゆっくりするわ……という感じ。
まだ若い先生。こういう人に教えてもらえる経験もなかなかありません。今回限りで二度と行かないけど勉強になります。
上手な人は先生の振付にまるっきり瓜二つではなく、音にあわせて身体を揺らす。先生と同じ方向も見てないです。ヒップホップやハウスで全員同じ振付で同じポーズの画像がない理由がわかったような気がします。コンテンポラリーも基本自由なのだなあ。
バレエぽいアラベスク反復シーンはなんとかできた。しかしそれ以外は徹頭徹尾できませんでした。特に重心を落としてまわりこむしぐさが全くできない。お尻つきだしてあとずさり系が私の踊り。だめです。が、それなりに楽しかったです。
でも大人バレエ生徒は参加不可なればちょっと一言かいてほしかったな。先生が若いコばかり相手にしてたのでちょっと居づらかった。空気を読めない私がバカでしたがそのあたりも勉強になりました。とりあえず追い出されず、最後まで受講はさせていただけました。この点は心から有難うございます。
コンテンポラリーはわけがわからない上に、踊ろうとするとバレエ以上にもっと難しいと身に沁みてわかりました。私はまだバレエケモノ道をうろうろしています。そういうバレエ人生もまたあるのだとこのエッセイで笑い飛ばしていただけたら幸いですよ。
また変わった体験ができたらUPします。




