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第65話・大人バレエの初心者男性について

 今回は平成二十八年七月六日におきたバレエ講師の指切断事件によるコメントです。被害者にとっては、肉体的にはもちろん精神的にも大変な苦痛を受けたと容易に想像できます。とてもかわいそうに思います。


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 事件の概要は以下の通り(NHKニュース記事より引用させていただきました、また人名は抜去しています)

 東京・渋谷区のバレエ教室で、以前、生徒として通っていた住所不定・無職の○○容疑者(四十一)が、担当講師だった二十四歳の女性の右手の親指を工具で切断したとして、傷害の疑いで逮捕されたものです。

 警視庁によりますと、容疑者は教室内でものをたたくなどしてほかの生徒の迷惑になっているとして、去年十月ごろ教室側から退会を求められたのに対し、「退会理由に納得できない」などと、教室を運営する会社の社長に複数回メールで反論していたということです。また、容疑者は調べに対して容疑を認めたうえで、「切断に使った工具は、先月、ホームセンターで買った。去年から、女性講師に恨みがあり、ずっともんもんとしながら感情を抑えてきたがきのう爆発した」などと供述しているということです。

 警視庁は、退会などを巡って担当だった女性講師に対する恨みを募らせ事件を起こしたとみて調べています。

……以上引用終わり



 加害者は、お教室の経営会社側から退会を告知されたというから、クラシックバレエを学ぼうという態度からかなり遠かったのではないだろうか。警察に相談の履歴ありなので、通常では考えられない暴言や講師に対して恐怖を与える行動をしたのではないでしょうか。いずれにせよ穏やな話ではありません。しかも命は狙わず、日常的には聞いたことのない用具を使うという用意周到さ。

 ①クラシックバレエ、②指切断、③日常生活では使うことのないタガネ、というキーワードでマスコミの扱いもかなり大きいです。

 ニュースに出ていたこのバレエ教室は地下一階でした。降りてすぐにバレエ教室の入り口だったように思いますが、それならば加害者と対面してもすぐには逃げられません。被害者の女性講師の驚きと嘆きはバレエ好きならば容易に想像できるでしょう。


 近年「大人男性も歓迎」とHPで告知しているお教室も増えています。大人バレエの隆盛とともに、バレエの間口も広がってきているのです。でもそれは真摯にバレエを習いたいという目的がある人のためです。例えば体型や体調管理のために、健康維持のためにとという動機があるはずです。加害者には、残念ながらそれが見られなかったのではないでしょうか。

 転じて私の経験からしますと、大人バレエでも男性の場合はまじめな人であっても継続しがたい印象を持ちます。バレエが大好きだという強い意志がない人は続かない。

 まず圧倒的に女性生徒が多く、三十代以上の大人男性初心者さんには、ちょっとうさん臭い目で見られる……ということで気がひけたりする方も多いです。(少年から二十代ぐらいの若い人、もしくはとても上手な人は歓迎ムードだけど)

 クラシックバレエは女性が踊るものという概念が強い方ならば、気がひけて当然です。そういう方ならばまじめな生徒になりうるので、私は歓迎です。実際に、同年代以上の男性とバレエについて話してみて「体が硬いけどそれでも興味がある、機会があれば、やってみたい」と言われたこともあります。

「ぼくでも大丈夫だろうか」というメッセージがこめられていたので、私はもちろん「大丈夫ですよ」と申し上げました。(でもやっぱり気が引けて、家族やまわりの目があるのかやっておられませんね……)

 逆に女性のレオタードを見て性的刺激を受けたり、スタイルの良い恋人を作って良い思いをしたいという下心満載であれば、女性側はそういう視線にはかなり敏感なので刺すような視線で出迎えられることでしょう。私は幸いにして、そんな変な人には出会ったことはないし話題にあがったことはない。

 でも社交ダンスのレッスン時に一度お茶会である男性の自己紹介で「自分は女性と握手したこともないので、それで習いに来た」と正直に告白されたことがあって女性一同ドン引きしたことがあります。話してみると生真面目な人で悪い人ではなかったし、気の毒に思った? 先生のフォローもあってお教室仲間になりましたけど。このぐらいですね。加害者のように暴言を吐く人は論外なんですよ。


 私が言いたいのはこの事件のせいで、まじめな大人バレエの男性生徒が迫害されることのないように……ということです。痴漢の冤罪事件みたいなことになってもそれこそシャレにならない。大人バレエの隆盛を望むわたしにとってもこの事件は驚きでした。

 被害者の女性講師様には心からお見舞いを申し上げます。







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