第63話・ロシアバレエの基礎基礎基礎基礎基礎轟沈……へたれバレエ忘備録その3
最近、私の周りにはぎっくり腰や足を痛めた、血糖値が高くなったとか健康上のリスク話をよく聞きます。検査でひっかかった、入院した、手術したという話を聞くたびに、私もいつまで踊れるやら……という暗澹たる気分になります。
年齢的なこともあるので踊れる時には踊りたいわ。年を取ってから後悔するよりは、今やっておいて恥をかいておこうと思っています。身の程知らずですけど……幸い、本当に上手な人はこんな私がレッスンに参加しても、先生の指示と自分への踊りのチェックに余念がないので、大丈夫です。先生も通ってきた道ゆえか、私にきつくいったり邪魔にされたことはありません。(このエッセイによく出てくる悪口大好きクソババアを除く)
そうして……お名前はかねがね……一度は受講したいと思っていた先生と出会えました。これまた正解だったので、ここに書き残しておきます。
バレエの技法にはいろいろと流派があります。そのあたりは、空手や書道、華道、日本舞踊などのいろいろな流派が林立しているのとそんなに変わらないといえましょう。しかし一応最高級というイメージがあるのは、やはりバレエ史の流れからしてロシアでしょう。
そんなロシアで学んだ先生のレッスンを受けてきましたので、ここにも忘備録を書きましょう。
結論から言いますと受講してよかったです。
実は私の足はアンディオールではありません。モドキです。本場ならば、論外です。入学試験からして、こんな足ではダメと放り出されるでしょう。足……歩けるので不足は言いませんが、ロシアバレエ=ワガノワメソッドだとどうしても不利ですね……そんなことを痛感しました。今回はその話。
ここはバレエを知らない人も閲覧されるので、少しだけ蘊蓄を書かせてください。ワガノワ、ワガノワバレエもしくはワガノワメソッドとよく言われますが、ワガノワとは、元は考案者というか昔からあったバレエ教育法を系統立ててまとめた人のお名前です。旧ソ連時代のバレリーナさんです。本名がアグリッピナ・ヤコヴレヴナ・ワガノワ。(1879年6月26日ー1951年11月5日没)
それをワガノワメソッドといいます。幼い時から子供たちへのバレエ教育を成長段階を考慮しながら順を経て教えていく技法です。誰しもいきなり難しい踊りを踊れるわけではなく、きちんと系統立てた伝統的な教育法を踏襲していくわけです。
ちなみに、ほかのバレエ技法にはイギリス発祥のRAD(The Royal Academy of Dance=ロイヤル・アカデミー・オブ・ダンシング)通称アール・エー・ディー),オペラ座メソッド・チェケッティ、ブルノンヴィルメソッド等とあります。もちろん、どれが一番ということは決まっていません。
厳格なワガノワメソッドがうたい文句の先生ですが、事実お若いのにプロやコンクールの受賞者を輩出されています。私でも大丈夫だろうか、という不安もありましたが、最近やらないで後悔するよりも、やって恥をかこう! をモットーにしております。
のこのこと、レッスン場に顔を出して初対面の先生にあいさつ。にっこり笑顔の先生。HPでも見たけど本当におきれいな先生! もちろん現役なので、お手本も口ですませず、ちゃんと身体を使って見せてくださる。
特筆すべきだったのは、大人バレエ対象でもあったのに、身体にさわってくれたことです。これは本当にめったにないことで内心驚きました。有り難いことです。しかしながら、私の体は見た目アンディオールぽいけど、モドキです。触ってもっと外側にターンアウト、外旋するように先生の手が外へ外へと向いていきます。先生が神の手であったとしても、すぐにおっしゃるとおりにはできないのが、私です。
でもさわられて、なるほど! とわかりました。お腹とふともも、膝、足首ざーと外側へと、さわられました。さわられて、より深く理解する経験は子供の時以来ではないでしょうか。
この先生は絶対アタリだ、出会えてよかったと思いました。
そしてワガノワのやり方で足ならしも、超丁寧。ゆっくりの音楽を流して、ゆっくりと手足の動きを自分で鏡で確認しながら動いていきます。ラストはルルベでポーズ。しかもこれがまた結構長い時間。これで軸の取り方を覚えろというわけでしょう。
テンポよくさっさとすすませて身体を動かさせるタイプの先生とは、対極にあります。これはこれで硬いことは言いっこなし、楽しく踊りましょというスタンスでいいのです。実際細かいことはおっしゃられず、特に注意もないけど、楽しいです。踊れるならば何でも楽しい。
だけどより正確に踊りたい、プロの方々と同じように踊りたいと思うならば、大人バレエでやり直しは年齢的に難しいだろうしと躊躇します。少なくとも私はそうです。
しかしこんなにゆっくりと動かさせる先生と出会えるとは……バレエの教えもまた奥深くおもしろいです。超スローペースということで逆に、クラシックバレエの根本的な難しさを理解できたのです。
そして、私はもっと大事なことに気づきました。私の踊りは、このロシアのワガノワメソッドでは全く通じない……。私の基礎は甘すぎるのです。一応踊れてはしても、認めてはいけだけないでしょう。
本気でやりたいならば、今からでも身体改造が必要でしょう。私は以前、「あなたは基礎が甘いまま、ここまで来てしまった」とおっしゃった先生のお顔を思い出しました。本当の事だから言われて当然です。
忸怩たる思いを感じる一方、生のワガノワメソッドに初めて触れることができる喜び、至近距離で見ることができる美しい先生の美しいお手本。
そして不幸&多幸を感じる私のバレエケモノ道……ええ、私は、幸せ者でございますとも。
少々距離&時間的に無理があるので、通うのは難しいのですが……時間を作ってまたお伺いさせていただくつもりです。ありがとうございました。




