第47話・GOGO! 足底筋膜炎!
足底筋膜炎⇒そくていきんまくえん、とお読みください。
文字通り足の底が痛む整形外科分野の病気です。足の底全体が痛む人や、踵だけが痛む人などいろいろですがレントゲンを撮ると骨棘=こっきょく、といって足の底と水平に棘のようなものはうつるのが特徴です。ただし骨棘ができない足底筋膜炎の人もいますので絶対的な具象ではありません。
足底筋膜炎はマラソンランナーさんに多いらしいです。足の酷使から来ているのかと思えばそうでもないらしい。しかしならない人だって多いのだから原因不明でしょう。病気はほんと根本的にどうしてこうなったと考えれば考えるほど袋小路に入ります。なってしまったらわりきって付き合うしかありません。もちろん治るための努力は必要です。治りたいという意志があってはじめて受診に至るわけです。
私の症状は踵が痛いというだけで命には別条ありません。が、足の痛みがあるということは踊る側にとっては致命的です。しかも日常生活にも差支えがでてバレエどころではない、という状況になりました。
私は今年の春の季節外れの大雪に滑ってしまい、その時からこの症状が出ました。片足だけだったのでまだよかったのですが、朝起きるときに起き上がっての何気ない一歩ですら歩けず、何かにすがって立ち上がるというつらい状況。しかも私の寝室は二階です。階段を下りてトイレにたって洗面台にいって顔を洗ってそのあと台所で朝ごはんやお弁当を作らないといけません。まず階段を下りるときからして踵が痛むのであえて後ろ向きになって手すりを使って階段を下りる始末です。後ろ向きに歩くとどういうわけか前向きに歩くより少しはラクなのです。
起床時が一番つらく、少し経てば足も温まるのか疼痛も和らぎます。仕事中は痛みを感じないことが多い。バレエレッスンも受講可能です。なんとかですが。バレエでは何度も踵を上げたルルベになりますし、片足で立ってポーズをしないといけません。筋膜炎になった片足だけができないので、足をかばいながら踊りました。自分でもへたのなので元から不本意ですがそこに疼痛が加わるともっと不本意な踊り方です。不思議なことにポワントを履くと疼痛を気にせず踊れました。いったい私の足はどうなっているのでしょうか。
まあこの状態が続くと困るので仕事を休んで遠方のスポーツ整形外科と名乗る評判のよさそうなところにわざわざ行きました。レントゲンを撮ってもらうと私にも立派な骨棘ができていました。ネットで見るような鋭いとがり方こそしていませんが、見るなり整形外科医は「足底筋膜炎」 ですと断言しました。それから手慣れた様子で机にあるファイルからコピーされた「足底筋膜炎の患者様へ」 という患者向け説明書みたいなものを出しました。まあそういう診察をされている先生だったのです。
「これなら足を使わなかったらすぐ治ります。バレエもやめたたらいいよ」
バレエをやめたらいいよって、あっさりとそんなこと言えますね? やめたくないからこうして私にとっては遠方のここまでわざわざ受診にきたのに。私がどうみてもプロでなく趣味でしているからほかの趣味やれば? と気軽に言ったのかもしれません。私が有名なプロだったら扱いも言動ももっと気遣ってくれたかもしれません。先生のいうことは至極当たり前で自分もそんなことぐらいわかってる。でもはいそうですかってバレエをやめるならとっくの昔にそうしてる。
バレエを続けたいから足を治したいからこうして受診しにきたのだろうが、カルテの表面に書いている私の住所を見なさいよ、遠くから来てるでしょーが! ……と言いたいが無理。私は三秒ほどしおらしく黙ってうつむきます。
ネットでの宣伝で立派な経歴のある専門医なのにそんな当然なことを言い出すのです。繰り返しますが患者は日常生活に差支えないけどとても困るので診察を受けるのです。きっと偉すぎて誰も注意しないのでしょう。私はしおらしい態度から一転してその医師に反論しました。
「足を使わないでっていっても無理です、それとバレエは趣味ですけどやめたくありません」
医師は日頃から患者からそう反論されることに慣れているようでした。そうですか、とにこにこ顔でうなづきます。怒っても効果なしです。
「それでは治らないよ~。よく考えてみてね。痛み止めと胃薬とよく効く湿布をさしあげます。それと超音波照射を週三回三か月間受けに来てください。それで治ります」
「週三回なんて、ここは私の家から遠いのでそんなに通えません」
「じゃあ薬だけ多めに出しておきます、お大事に」
私はこんな診察なら近所の整形外科医で十分だったとがっかりしつつ帰途につきます。それぐらいHPを見てそのスポーツ専門整形外科の医師に対する期待値が大きかったのです。基本診察には定型的なものがあってそれはわかりますが、HPにスポーツ整形外科と専門的なイメージを標榜されたら私だって期待してしまいます。
結局乏しい医療知識をフル動員させても特に効果のある治療方法はないことがわかり私は整体に行きました。バレエ、足底筋膜炎、整体で検索するとヒットします。ランナーさんいらっしゃい、と自信満々なところも結構ありますね。若いバレリーナの卵の患者ばかりUPしてこれだけのバレリーナやその卵を治療しました! としているところは興味をひきますが、私のようなへたくそ&年寄りは整体師がイヤだろうと敬遠し、あえて患者の画像がないところを選びました。しかし負け惜しみではないけど、上手なバレエポーズを取らせて己のHPにUPするやり方はまるでそこで治療を受けるとバレエが上手になりますよという錯誤をおこします。ちょっと反感をかいますね、あんまりあからさまなところはね。
私の選んだところは患部の足をさわらないところでした。あえて患部をさわらないところにしたのです。私は他人に足をさわられるのが嫌いですし、へたな整体師にあたって足をより痛めるのを危惧したのです。
痛いところに触らないで治療する。そういう整体もあるのです。気功、波動を使うところですね。助手とかいなくて先生が腕1本でしているところ。私の選んだところは先生は自信満々なところでした。
私の治療を受ける前には足を十分休ませてくださいという患者への要望付です。値段は普通の整体よりも高価です。治療は確かに患部はさわらない。私は寝転がっているだけ。結果はすぐに出る人が多いらしいですが私の方は痛みは変わらない。
「どうですか?」 と先生。
「まったく変化なしです」 と私。
「そんなはずはないはずです。あなたに前日足を休ませておいてといいましたがもしかして動かしたのでは?」
「はあ、前日どころか今日の午前中も踊ってました」
「だからだ、だから治らない。どうして私のいうこと聞いてくれないの」
「すみません、でも踊りたかったし」
謝ってお金を払って足を痛いまま帰宅。
だけど翌日から徐々に痛みはひいてきて2週間後、痛みの半分は取れました。独自のストレッチとマッサージを続けたのでよかったのかもしれません。そのかわり治るまで半年かかりました。整形外科分野の痛みは日にち薬という言葉があります。時間がたつのをじっとして待つという意味です。要は急には治らない、ということです。へたくそなバレエがよりへたくそになりました。
それでも治って本当によかった、ほっとしています。
みなさん足は大事です。足を大事にしましょう……!
重症の人は整形外科用体外衝撃波疼痛治療装置
「ドルニエ Epos Ultra」
で完治可能だそうです。私の場合は片足の踵だけ、
しかも身体が温まると症状が消えるので
軽症だと言われまして不許可でしたがお悩みの方で
検討できる方はどうぞ受診してみてください。
ドルニエをお持ちの医療機関はググればわかります。
(医師の判断&ドルニエ使用のガイドラインがあります)




