第4話・グランジャンプの話 ☆
うちのチビコが好きなのはレッスンの最後にやるグランジャンプです。
片手を前に、もう片手はやや後方に。
足はグランバットマンの前のように振りあげてそしてできるだけ前方に飛ぶ。
この音楽がかかるとチビコはとってもうれしそうです。
バレエレッスンを始める以前にコレ、確かしてたような気がして私は記憶をさぐります。
そうだ!!
横断歩道だっ!!!
保育園かなんかで交通ルールを教えますよね。いや右みて、左みて、また右みて、さあわたりましょう!
で横断歩道を歩けばいいのです。
だけど2歳から5歳児の保育園へ行くお年頃ってただ歩くだけではおもしろくないのでしょう、ぴょんぴょんはねながらうれしそうに歩くのです。いつもと違って見慣れないおまわりさんがいます。かわいい府警さんもいて、腹話術のお人形も持っています。
今日はいつもと違って保育園の広場にはチョーク粉で道と横断歩道がかかれてあって、そこを渡るのです。なんておもしろいのだろう!
あのアスファルトにかかれた横断歩道の白いしましまを飛び越えながらぴょんコぴょんコするの。
あの時の仕草に今やってるグランジャンプはそっくりなのだ!!
まだ小さいので短い足でぴょんぴょんするのに横断歩道はちょうどいい縞シマ具合なのだ。その記憶がよみがえるのでグランジャンプが好きなのかもしれない。
うん、好きなだけしたらいいよ。そのうち足も180度開くようになったらジャンプごとに拍手がもらえるようになるよ。
問題が1つだけある。
我が家でそれをされると狭いので家が揺れるのだ…。
かろうじて一軒家なのでマンションのように下の階の住民から怒られることはないけど、うちの居間は真ん中にほりごたつができるようにぽっかりと穴があいている。電気代がすごくかかるので、普段はほりごたつは封印していて、床は平らになっている。だが彼女の体重が増えてくるとこのジャンプした拍子にいつか床が崩れるかもしれない…。
ああ、広い居間が欲しいですね…個人用にレッスン場が欲しいとは言うまい、せめてもうちょっとだけ広い家にしたらよかったな~。でもそれをあんまりいうと彼が怒るのでこれ以上は書くまい。
ではまた。