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第39話・チビコの進退・後編 ☆

 ……発表会が終わったらバレエをやめる。

 そう決めたとたん、チビコは振り付けやレッスンに前向きになりました。うちの子は終わりが見えると張りきれるタイプなのだろうか、私はちょっとがっかりしつつバレエ送迎に精出しました。

 初めてのバレエメイクレッスンやお衣装ができてくるとチビコはもっと張りきりました。クラシックバレエを見たことがないという彼側のおじいちゃんおばあちゃんはもちろん、まだバレエを私同様細々と続けている知人も遠方から見に来てくれると聞いてもっと張りきりました。


 発表会も難なくこなし、無事舞台を務めあげました。

 終了後の夜、私の彼は言いました。チビコがこう言っていたというのです。

「お母さんがバレエが好きなのでバレエをしようしようっていうの。だから私はお母さんが喜ぶからバレエをしたのだけど、バレエはおもしろいからまあまあ好きだけど、でもそんなに好きじゃなかった」

 ガーン……。

 まだまだ幼いチビコと思っていたのに、チビコにそこまで気を使われていたとは……。子供は親の思うようには育たないのだなやっぱし。私自身親のお人形時代が長かったのだが、成長後は言うこと聞かなかったしお互い様だよな……。

 やはりこれはバレエをやめさせるべきだろう。

 私は発表会終了後の最初のレッスンの前に先生のところにお伺いしてやめる挨拶をチビコ本人に言わせました。先生も残念がっておられましたが、発表会を機会にやめる子供もいますし、逆に発表会を見てバレエを始めた子供もいます。こういうものだ、と先生も思っておられたでしょうし、私もそう思いました。チビコにとっては地道なレッスンにつながる華やかな世界と舞台裏の世界を垣間見れたとても貴重な思い出ができました。親子ともよい経験ができたと感謝しております。

 

 今私が自宅でストレッチしていると気が向いたときだけ一緒にストレッチします。更に気が向いたときだけアラベスクをして「お母さん、これ、どお?」って聞きます。

 軸足まがってるよ、と私はなおします。

「これでどお?」

「いいよ」 と私。

 いつの日かまたバレエをしたいと言ってくれる時もありましょう。チビコの場合は親が率先してバレエをさせたがったのです。だけどチビコは自分でやめたいと言いました。いつか大人になってから大人バレエをするかもしれませんし、しないかもしれません。まあそれはチビコが決めることです。(そのかわり自分で稼いだ金でやってくれ、私は老後の資金と介護費用と葬式代をためないといけない。)

 よそのお子さんではバレエをしたいしたいとせがまれて仕方なく通わせています、という場合は本人も真剣に通ってます。その親御さんはバレエが好きなわけでもなくて、本人がやりたがるので仕方なく……うちはそんなにバレエを見せたわけでもないのに~とか言いますがこういうのも運命かも。

 バレエ好きの女性の子供は必ずしもバレエ好きな少女になるとは限らない……我が家がとてもよい見本です。


 チビコの発表会話はこれでおしまいです。




 

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