表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/100

第38話・チビコの進退 ・中編 ☆

 発表会の振り付け開始になってからというもの、チビコはバレエを嫌がるようになってしまった!


 それまではバレエレッスンは週一回でまったりとしていて、バレエは難しいけど楽しいおもしろいって喜んでいたのにこの変わりようはなに?

 

 チビコにいろいろと話を聞いてみると見かけの割に勝気なチビコは他のお友達に比べて先生の注意が自分にばっかり向いていてつらい、何度やりなおしてみても全然できない、お友達の踊りを見ながら踊っていると顔を正面に向けて、手のほうを見てとかいろいろと注文をつけられ踊りがわからなくなってしまう→よけいに振り付けが嫌いになる。

 うーん、それはもう仕方ないのではなかろうか。

 同時期に先生のほうから私に直接話がありまして、携帯でもよいし家庭用ビデオ機器などで撮影して家でもふり写しレッスンをしてあげてくださいとのこと。もちろんそうさせてもらいました。でないとこの状態のままでは皆さんに多大な迷惑がかかります。

 チビコにとってもバレエレッスンだけではなかなかしないふりつけ、たとえばバッセ、バッセで回転しつつ風車の形になるようにみんなで集まるシーンなどがあります。確かにバレエをやりはじめたばかりでこれはちょっと難しいかも、だがこういうのを乗り越えてこそ、根性というものが身につくであろう……と私も帰宅後に猛特訓させます。

 ビデオ再生を熟視しながら私はチビコに振り付けを教えます。私だって仕事あるしお皿洗いも洗濯もお風呂の用意も……。だが私はバレエ好き。すぐにバレエを最優先させてチビコを踊らせます。お皿洗い? お掃除? 悪いけどほったらかしです。家の中汚いですけどお客さん来ないし平気です。

「さあ、バッセバッセ、グリサードパドシャ。

 ちゃんと足5番にいれてね、そう、上手よー」

 覚えが悪いですがここで怒るともっとバレエが嫌いになるであろう……。チビコはバレエ好きの母の指導のもと自主レッスンに励みます。同じフレーズを何度もすればさすがのチビコも何とかカタチになってきます。とりあえず足の5番、アラベスクは軸足まっすぐ、足のつま先は常に外側。この3点を重点的に教えるとチビコは次のレッスン時で先生にほめられたらしく、ちょっとだけ自主レッスンに前向きになりました。同居の彼や兄は私たち母娘が狭い居間を占領して自主レッスンに励むのにちょっと迷惑そうですが何も言いません。応援もしないかわりにテレビの位置を変えて部屋の隅っこで見ています。

「もう1回そこやりなおしてくれる? そうそーお。とっても上手だよ」

 とほめる私。

 私は断言できますが私のおかげでチビコは家で振り付けを覚えました。レッスン場では後ろで私がビデオを撮っているのをしっているので(見学不可の3歳児クラスも一度入って取らせてもらいました)、帰宅後どうせお母さんが振り付け教えてくれるだろうしってことでわからなくとも平気な顔で適当に踊ってます。バレエは楽しいがお母さんがやれっていうからそれなりに楽しいけど、別にバレエをしなくっても私は平気よー……という感じでしょうか。

 こ、こんなはずではなかった。チビコはバレエ一筋のバレエ少女になるはずだったのに、たったの数カ月でバレエを適当に踊る少女になってしまった……。先生や私の言いつけを守りますがそれは最低限なのです。上手になるにはもう少し「モチベーション」 というのを持ってくれないと人より上にはいけません。私の失敗です。でもまだ年齢が低いせいもあり、挽回もできるでしょう。ですがレッスンが終わるとあーやれやれやっと終わった。早く帰ろっと♡ という思考と行動が垣間見られてきて私はイラッとする。

 主役のコなんか、レッスン終了後も鏡を見て何度も先生に注意されたところをやり直している。チビコもそういう意味での欲張りになってほしい。主役のコみたいに熱心な生徒になってほしい。

 ですが私とチビコとは親子ですが人格は別です。私の果たせなかった夢を、と思わないでもなかったですが彼女にはバレエは向いてないのでは、と思い始めました。発表会前まではほどなくチビコも振り付けは覚えましたがどうもいまいち熱心ではない。レッスン前に泣きはしなくなりましたが全然熱心ではない。学校から帰るとまずランドセルを放り出し冷蔵庫を開けてジュースを飲む。それから時計を見てあー、もうこんな時間か、じゃあそろそろ車に乗ろうかーという感じ。学校帰りなので車の中では爆睡する。レッスン場について起こすとまだ眠たくて機嫌が悪い。発表会終了後まで毎回こんな感じだった。

 レッスンして振り付けに入るともっと帰りが遅くなるがそのあと夕食、宿題。

 小学生低学年にしてチビコは学校とバレエの両立ができなくて今度はまた別の意味の癇癪をおこすようになってしまいました。

「私バレエきらい。お母さんバレエの発表会終わったらもうこういうのなくなるよね?」

「チビコ、バレエきらいなの? やめたいの」

「うん、私、学校のほうがいいや。学校のお友達と遊べないから発表会が終わったらバレエはやめたい」

 チビコは自分のほうからはっきりとやめたい、と言いました。発表会の2か月前のことでした。

「バレエの友達できたじゃんか。週1回だけでも続けたらどうかな?」

 親子で何度も話しましたがチビコは嫌だと言います。正直、バレエのお友達は居住範囲がばらけて広いし、彼女たちの両親や祖父母はバレエへの理解度が非常に高いご家庭が多い。私的にはそういうお友達をたくさん持ってほしい。けど本人がこれでは……。


                          まだ続きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ