第35話・チビコの初めての宝塚観劇・後編 ☆
宝塚歌劇終了後、子供に感想を聞きました。
まずはお兄ちゃんから。彼はオスカルが白馬に乗ってるシーンとアランが銃を持って戦うシーンがよかったそうです。白馬には羽がついていて、オスカルが天を駆けているように見える仕掛けです。
「お母さん、馬の脚が全然動かなかったけど、あの馬の場合はおっきな羽があるから足が動かなくてもいいんだろ。戦うシーンはちょっとしかなかったけどかっこよかった」
馬の足ね……。子供の目って鋭いなあ……。
だけどラインダンスとか何も思わなかったのかな?
「お母さん、あの一列になってヤッとかいうやつね。みんな手拍子してたね、ぼくも楽しかった」
そうか。
「今度前の方の良い席が取れたらまた行ってみる?」
「どっちでもいいよ、今度行く時も途中の道で真実の口に手を入れて目を光らせて(←分かる人だけ分かってください) 手塚治虫記念館に行く」
今度はチビコに感想を聞く。
チビコは帰りの車でパンフレットを熱心に見ていたが平仮名読みにすると自分の名前と同じ人を見つけて大興奮。名前が一緒だーと親近感がわいたみたいです。
「この人私と同じ名前でうれしい。あの舞台にいたんだ、ちゃんと見たかった。 でも男の人なんだね? 私と同じ名前なのに男の人なんだあ、やだなあ」
「いや全員女のコだよ、あの舞台は全員女のコなの」
「だって男の人だよ」
そっか、私はフランス革命のあらましだけは教え、オスカルが女性だということも教えて漫画原作も昔から持っていたものをあげたつもりだったが、肝心の宝塚歌劇は全員女性であることを教えてなかったワ。
「えっとチビコ、この男の人に見える人はね、女のコなの。お化粧をしてわざと男の人の恰好をしているの」
チビコの目がまんまるくなりました。
「じゃっ、この人も? この人も?」
パンフレットの出演者のうち男性役の写真ばかり指差していきます。
「そうよ」
「じゃっ、この人は? ひげが生えてるこの人も女のコなの?」
「これはね、ひげの形をしたシールを鼻の下に貼ってるの」
「へえっ」
チビコは後ろの方の写真を指さしました。
「このジャルジェ将軍って人も? ほんとに女のコ?」
「そうよ、ジャルジェ将軍も女のコよ。お化粧で男の人になってるだけ。みんな女のコよ」
チビコは驚いて写真をぱらぱらめくります。前の人の方の写真を見せて「この人も?」 と聞く。
「そりゃ阪急のエライ人だってば、演出とかそういうのは本物の男の人みたいね」
「へええ……」
チビコの感想って毎度おもしろいです。チビコは感心したようにこの人も女のコ、この人も女のコ、とつぶやいていました。
今度また子連れで四季に行くのでチビコの観劇後の感想をひそかに楽しみにしています。




