第34話・チビコの初めての宝塚観劇・前編 ☆
以前、劇団四季の初観劇の思い出を書きましたが今回は宝塚の話です。おーい、私もうれしいぞー、子連れでとうとう宝塚観劇レビューできるようになったぞー。
華? の独身時代、クライマックスに前触れなく後ろの幼児に座席を蹴飛ばされて背中に衝撃を受けた思い出のある宝塚。あの日、私の席のすぐ後ろに四、五歳ぐらいの子供二人がいたんですよね、親は幼い子供にもちゃんと座席をとって観劇させていたわけです。だが幼すぎて舞台に退屈したのでしょうね。一緒に行った友人は腰まである髪をひっぱられて怒っていたっけ。後ろの親、平謝りでしたね。今思えばそれも懐かしいです。(当時はあんな小さい子供をどうして宝塚に連れてきたのだろうと不思議でしたが子持ちになった今、私は彼女の気持ちはわかります。自分が観たかったのよね、とにかく。)
さて数年ぶりに訪れた宝塚。ほんと綺麗になりました。昔はちょっと泥臭い感じだったし、もっと大昔、私の幼いころはまだ動物園や遊園地もありましたよ。歳がばれますね、ははは……。
チビコにとって記念すべき初観劇の演目はベルサイユのばら! です。ストーリーはもはや語る必要はありませんので書かないでおきましょう。私の初めての宝塚初観劇は演目は忘れてしまっています。ベルバラだったような気もしますがわかりません。母親に連れられて行きました。今度は私が母親になって子供を連れていくのです。人生、順番ですね。
実はチビコの上に兄がいます。男の子だって宝塚もいいでしょう。一度みて嫌だったらもう二度と連れていかねばいいだけの話ですし、一生に一度は見るべきでしょうと連れて行きました。彼は入り口近くにある手塚治虫記念館はこちらという案内板を見て「ぼく、こっちの方がよかった。あの建物の中、女ばっかし」 とぼそっとつぶやいたのです。今日はベルバラだけね。また今度にしようねと説得しました。(ということは次回は宝塚と記念館両方行かねばな。忙しいな。)
その日は某社主催の貸し切り公演で超満員です。こちらは急遽席をとったのでB席の後ろのほうです。三階までエスカレーターであがります。まあここまで上がれたら舞台全体が俯瞰できます。小さなオペラグラスも持ってきているし階下で千円のパンフレットも購入しました。準備万端!
「のどがかわいた~アイスクリーム食べたい~」
だしぬけにチビコが言い出しお兄ちゃんの方も「ぼくも~」 と言います。エスカレーターのところにアイスクリームがあったよ、あれがいい。……あと十五分で開演じゃないか。終わったらゆっくりアイスを買ってあげるからといっても言うこと聞かない。ちっ、子連れはこれがあるからイヤなのよ。私はゆっくりパンフレットを見たいのに。しかしながら、うちのチビコも大きくなりました。今日はお兄ちゃんもいます。私はお兄ちゃんにお金を渡して自分たちで買いにいってらっしゃい、と送り出しました。兄妹二人して喜んで買出しに。私も自力でアイス買って自力でこの席まで戻ってこいって言えるのがうれしいわ。子供の手荷物というかリュックは座席に下に置いたままです。
すると私の奥の方の席に座ろうとした男の子がきました。小学生三年生ぐらいか? あわてて席を通そうとしますが、その男の子は早く座席につきたいのかうちの子が置いたままのリュックを足でつんつんと蹴飛ばそうとします。「……ちょっと待っててね」と言ってあわててリュックを手にもち男の子を通します。
一応声や表情には出しませんでしたが、すみません、との声掛けもせず、人の荷物を足で寄せようとするその非常識さ、後ろについていた親も何も言いません。だからB席って嫌なのよ! 常識知らない人多いから! と思いましたです。少なくとも我が子だけはそんなことしないように躾けようと心に誓いました。
やがて開演。オスカルとアンドレ編です。宝塚に偏見を持つ人は化粧がヘンだの学芸会だの全員オカマに見えるだのひどいコトいいますが、この魅力ははまったものにしかわかりませんよね。宝塚は数年ぶりでしたがやっぱりいいなあと思いました。
基本ミュージカルなのでお歌も必要ですがダンスは必須です。特にクラシックバレエの素養がないとできません。ラスト近くでチュチュではないのですが、ポワント出して踊るシーンがありまして、それが綺麗に揃っていてうれしく思いました。そんなに難しいパはなかったのですが前後ろフェッテが決まって三階席から見ると綺麗に輪を書いて飛び跳ねているように見えました。足を全部だしてポワント履かせている人たちはきっと宝塚の中でもバレエが得意な人を抜擢して前に出しているのでしょうね。振り付けもコンテンポラリーではなく正当なクラシック派でこれも好感でした。
最初パ・ド・シスあたりから音楽が進むと人数が増えて長いドレス姿の踊り子さん達と交えて群舞になだれ込みます。ポワント履いて足のラインを全部見せて踊る人たちと長いドレスのすそを翻して踊る人たち。ホワイトを基調とした舞台は本当に綺麗でこれぞ宝塚、という感じです。とにかく演出がハデでそれがいいのですよね。舞台には白いバラをかたどった階段上にオスカルがいる。オスカルは踊らない。いいのよ、オスカルこのシーンでバレエ踊らなくても許せるわ♡ バレエ踊らなくてもバレエシーンでしきれるのはやはりスター性がないとね。この人もよいオスカルを演じていました。
今度はアントワネット編がいいな。やっぱりあのふわふわドレスをたくさん見たいのよね、宝塚の場合、私はど派手なのが好みですね。どうせやるならとことん派手なことやってしまえ、とけしかけてしまいたいのが宝塚。上品さと派手さが混合してえげつなさとしとやかさも混同して混沌とした色彩になる。やっぱり特殊な世界と言われても仕方ないのかもしれないですが、そこがいいなあと思いましたです。




