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第30話・バレエコンクールにまつわるうわさ・後編

…以下は作り話ときいてください。

 ある地方のバレコンはそこ自体はバレエ人口が少ない。

 だけどバレエの魅力にはまった人たちは大人も子供もどこでもがんばります。都会だろうが田舎だろうが関係ない。人が多いところでレッスンしていたから有利ということはない。だがやはり先生の知名度や力関係というのは関与してくるのはどうしようもないことかもしれない。

 また協賛企業の令嬢の名前がひそかにあがってこの子はこのバレエ教室に通っている。そこそこ踊れるコだし、親も熱心とか…。だからどうせよ、ではなくひそやか~にそういった情報がまわってきたりする。もちろん本人の知らないところで。


 再度言いますが架空の話ときいてください。

 そこの地方唯一のバレコン。なので応募者でわかるその地方独特の名字がズラリ。

 その中で単身無名の(そこの地方では)バレエ教室から参加してきたコがいました。これがまたダントツに光っている。

 水面下で今回はここの部門ではこの子とこの子は大きなミスがない限り賞を、とか下馬評とかでほぼ決まっていたという。そこへダークホースといっては悪いが今は無名だが誰がみても光るものを持っている子が遠路はるばる飛び込みできた。先生も無名だが賞歴をみると著名なところでの1位とかはないが○位、努力賞などがずらずらある。そういう子は応募の時点でわかるので本番前からそれとなく慎重に観察します。

 そして本番。そつなく、どころかそれはもう完璧に踊りきりました。

 文句なく1位です。しかも2、3位とか大きく水をあけている。都会での厳しいプロの世界を垣間見ていた経験のある先生はわかっていたと思います。

 この地方でのぬるま湯につかってるようなお子様バレエの世界を。

 教えてもらう側にとっても、バレエ教室を見比べるほどないので先生の教えとしての技量も比べようがない。でも心ある先生は指導法のやり方に反省もしたのではないでしょうか。その子は世界に通用するバレエを踊ったのです。世界に通用するだろう、というのは最低限キレイに身体を開いていたということに他なりません。普通の身体のやわらかさではないです。180度です。ひざも中に入っていて体型もよい。アラベスクでひらめ形式でもそこそこ足があがっていて形になってれば点になるというのは地方でも通用しても本式では笑止です。

 

 誰が見ても文句なし。この子に1位をあげないとこのバレコンの今後の地位確立にも支障をきたすでしょう。審査員一致で賞です。

 翌日地元密着地元万歳新聞はこのコの踊りのハイライトシーンをカラーで載せました。

 この手の密着新聞にとっては珍しく他の受賞者の写真は皆無でした。誌面の都合もたまたまなかったのかもしれませんが、なぜ地元以外のコを受賞させたのか? というクレームがないようにまたこれだけのことを踊れる子は他にはいませんでした、ということをはっきりさせたのでしょう。

 この写真でのポーズをここで書くとその子の身元とコンクール名が(多分)わかるのであえて書きませんが、私もその記事を見ました。

 そこのバレコンでは受賞者名をHPで一覧で載せます。が、画像は見事にそのコの踊っているシーンは1枚もなし。地元の受賞者の画像をのせていました。

 地方のバレコンは地方のバレエ教室あってこそのものです。

 私はその話を聞いたときに、逆にそのコの技量のすごさがわかると思いました。


 私のいいたいことは、結局ホンモノは世に出るということです。

 出る杭は打たれます。でもそれを飛び越えていくのがホンモノです。

 バレエはイバラの道でもあります。有力なコネやお金があるのならスタートラインでは有利なのは間違いないし、それを平然と利用できるコはそれはそれでいいのです。ある意味うらやましいですね。それが幸せかどうか私が判断することではないけれど。

 逆に実力で賞をとったのに、親がエライからね、とか親が先生だと有利とかいわれてつらい思いをする人もいるでしょう。どうしても叩かれやすい人はいるものです。実力でとったと思うなら自分を信じることだし、コネだとわかっているなら、わかったなら平気な顔でそれを利用してのしあがるのです。そして履歴書の賞歴覧の飾りものではなくバレエ界で生きたかったら、ほんとうの実力を急いで身につけることです。

 またバレエをやるにはお金もかかりますからまずバレエができる自分の恵まれた境遇に感謝してレッスンや舞台に臨むことです。

 

 本当にバレエが好きならコネのあるなしかかわらず、バレエレッスンの1コマ1コマを大事にし、コンクールで総浚えします。でも賞をとったらとったでプロになる足掛かりとして有利になります。

 だけどホンモノはそこで満足しません。満足するということはありません。

 そこまできたら親に言われてとか誰かに支持されてバレエは踊りません。自分のために楽しいとか楽しくないとかを飛び越えとにかく私は踊る! この一心で動くのです。

 それがホンモノだと思います。


 プロを目指す少女たちは、そういうホンモノ、をめざしてください。そういうコが人を感動させ励ましができるのだと思います。邪気なし→無邪気、ということですね。






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