第28話・やさしくてむつかしい = シニヨン・ヘア
バレエをしているとヘアをのばさないといけない。
いや、絶対と言うことはない。大人バレエではショートヘアの女性も多い。
でも子供バレエはやはりかみをのばして、ということが多い。そしてある程度のびるとかみをくるっとまいて、いわゆるバレエヘア=シニョン・ヘアにするのだ。
プロのバレリーナは舞台上では必ず基本このヘアだし、見たことない人の方がめずらしいと思う。
どんなに激しい動きをしても絶対にくずれない、絶対にまげが頭からはずれることのない最強ヘア!!
わたしの小さい頃はこのシニョンヘアは当然していたが、まずポニーテールをしてそこをくるっとまいて、UピンというU字型をしているピンをさしてまとめていました。自分でやればいいものですが、毎度親にしてもらいました。
だけどいつのまにかそれは古臭いやりかたになっていて、今は普通のピンをつかってさしていく。
確かにそのとおりで、普通のぴんでさしていくほうが踊っていくうちにまげが下におりていって、うしろのヘアがたるんでくる、という間抜けなことにはなりにくい。
まげの部分もできるだけひらたくつぶしていくように、ネットをかぶせたらくるくると自分でまげの裏から手をそえてのばしてさしていく。
上手なコは小学生低学年でも8方向から等間隔でピンをうってきれーいなシニョンにしている。
舞台でも演目によってジゼルのように耳を隠すシニョンもあるし、ジュリエットなら清潔感のあるストレートヘアにしないといけない。
厳しいお教室ではシニョン・ヘアにしたら髪飾りは一切不可というところがあるらしい。
大人バレエではショートの人も多いし、きれいに結い上げてきれいに髪飾りもつけて、という人も多い。わたしはヘアスタイルに気合をいれないほうなので適当にゴムで束ねるだけでレッスンにのぞんでいるし気楽でいいです。
シニョンにした場合はピン止めがきれいな円をかいてないのがわかっているのでそれを隠すために大きめのシュシュを巻いたりもしているし。これは男性バレエではわからないだろう女性ならではの楽しみだと思います。
舞台では踊っている最中にヘアスタイルが崩れるのはありえないことなので、まとめたあとはハードタイプのジェルかスプレーを髪全体につけるし、その上にまだ細かく薄いネットをかぶる時も多い。(ネットはこまかいので遠目には見えないようになっている)
ティアラや髪飾りをつけるときはそれこそ、踊っている最中にぐらっとはずれたりしないように念には念を入れる。Uピンで仮固定したら、あとはきれいにクロスするようにアメピンを厳重にとりつけ、ピルエットしてもかたむかないように何度も頭をふったりして落ちないことをためしたりするのだ。
そうして納得いったら、今度はバレエメークだ。ヘアを先にしてあとからメイクする人も多いが、逆の人も多い。ようは人それぞれです。
わたしはどっちだったか忘れてしまったけれど、こういうときは年に1度の発表会なので気分が高揚して時間が気にならない。朝早くから楽屋入りしているのに、開園時間が目の前、えっ、もうお昼なの? もう開場時間なの、ぎゃー、お客さんが入ってる~、ぎゃ~っ、もう出番がくる、くるぞっ!
舞台に出たらもう踊るしかないので(しかも毎度コールドなので5分弱)すぐ終わる。
地味なレッスンのあいまにこれが数年に1度の割でくるのでこんなものだろうね、ハレとケという言葉があるが、わたしの場合はバレエで実感しています。




