第27話・バレエ漫画について・後編
ネタバレ注意です。
次は山岸凉子さんの「テレプシコーラ」です。ネタバレありなので困る人はこの項を読まないでください。
この作者さんはバレエを幼少時に実際に本格的にやっておられたらしく、またテレプシコーラ連載中もレッスンをされていました。実際のプロからも話を聞いていたらしく話が超現実的で違和感なく読みふけることができました。
全くバレエをしない人もこの作品はおもしろいといわしめるのですから彼女の漫画力ときたらストーリーのおもしろさと絵のうまさは超簡単そうにみえる主線なのにこの味わいのある絵はなに? この表情はなに? と1コマに目をとめて凝視させてしまう威力がある。この点はすごいと思う。
山岸凉子さんの他の作品も大ヒットを飛ばしているものも多々ありますが今回はバレエ話に限って書いていきます。
「テレプシコーラ」以前には大昔? にさかのぼって「アラベスク」もヒットを飛ばしました。大昔の作品でご本人もおっしゃっておられましたが間違った用語もそのまま掲載されてます…がストーリー構成がかっちりしているので誰もそんなこと気にしない。そのぐらい威力がある作品です。当時にはめずらしい同性愛もしっかり描かれていて今読んでもおもしろい。
ですが連載終了してますもののテレプシコーラが私の一押しです。特に第2部がリアルでした。取材が綿密で国際的なバレコンの内情が詳細に描かれている。
ただ主人公が風邪をひき続けて話が先にすすまないこともあって、また風邪話かい…とかいろいろ思っていました。さっさとコンクールの結末を描かんかいっといらいらしていましたが、最後は見事でしたね。
漫画ですので主人公の姉が自殺云々がうやむやになって空海ちゃんの詳細も不明なまま、もありかもしれません。私ならいじめっ子の哀れな末路までしっかり描いてしまうだろー、空海ちゃんの数奇なバレエ人生も描いてしまうだろーと思うのですがそれが山岸漫画の山岸漫画たる由縁なんだろう。
ローザンヌを実際にファイナルまでいった人を綿密に取材されたのだと思います。韓国勢のまとまり? 団結力やそれぞれローザンヌへ行けそうな人を把握しているバレエママの存在がリアルでおもしろく感じました。しかしながらあの結末には正直不満です。
結論。テレプシの第3部を切望しておりますです。
バレエ漫画はバレエを知らない人も読んでもおもしろいが、バレエを知っているからこそもっとおもしろさがわかる、と思いますです。
やや特殊な世界であろうとも、まるっきりわからない暗号ではないし、ど根性モノ的な面もある。男女年齢おかまいなしに楽しめるのがバレエ漫画だと思います。
バレエ絵本、は子供向けにいくつか。
カエルのバレエ入門は大人向けかな、線の細かい絵は見てるだけで幸せです。
でもバレエ小説はあんまりいいのはないかな? 子供向けというより、子供だましかな、これだと漫画の方がいいかな、というのが多いです。大人でものめりこめるという面でははっきりいってこれがいいよと言えるものがないのが残念です。




