第26話・バレエ漫画について・前編
ネタバレ注意です。
漫画にはいろいろなジャンルがあってそれぞれにファンがいます。
バレエ漫画も例外ではありません。こういうバレエエッセイを読むような人なら、間違いなくバレエ好きでしょうし、長編バレエ漫画ならみなさん知っておられるでしょう。
またバレエ漫画を見てバレエにあこがれ、バレエを始めるきっかけになった人も多いと思います。
私の場合は子供のころからバレエをはじめましたが、それは私の母が決めたことです。母が若いころにバレエ小説を読んでじゃあうちの娘にもバレエをやらせてみよう、きっと情緒(←もはや死語)感覚が豊かな素敵な女性になってくれたらいいな、という感覚でやらせたようです。それと母親は森下洋子さんの世代ではありますので、ある時期彼女が女性誌や少女雑誌のグラビアを彩っていたのを再三見かけて美しい、優雅だという刷り込みがあったのでしょう。
長じてその娘はバレエが好きな女の子→ バレエが好きな女性→ バレエが好きなおばちゃん、という過程を経て現在にいたります。だけど母親の臨むバレエの上手な優雅な素敵な女性…、にはなりませんでした。
母親だって私のことを、こうしてこういう場所でひっそりとバレエ小説を書きたい放題書き飛ばす女性にはなるとは思っていないでしょう。(一応離れて暮らしていますので私がこんなになってしまったのは全く知りません。)
ただうちのチビコにバレエを習わせているというと「お月謝とか大丈夫なの? 」と我が家の経済状態を知っているのでかえって心配かけたりしています。
まあそんな感じです。
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以下は私見です。
個人的な感想ですので、異論がある人もいらっしゃるでしょうが気を悪くなさらないでください。それと作家の先生方の敬称略させていただいています。どうかご了承ください。
バレエ漫画で良い作品はそれこそいっぱいあります。世間的に認知されているのはやはり大御所有吉京子、山岸凉子、萩尾望都、槇村さとる。個人的には男性でリアルにバレエレッスンされている経験を描かれている魔夜峰夫、りぼん連載していたかわいい系の水沢めぐみも好きです。
これはちょっとないだろう? という超強引なストーリー展開にもあきれつつ読んでしまう曽根正人ほか意外や徳弘正也もショートストーリーでバレエ少女が出てきたことがあってこれも好きでした。
ひっそりと描かれているがプリマダムの原型ではないかと思うさかたのりこの作品。題名忘れましたが、これも世間的に目立たないが私の大好きな作品です。この人の作品は地味そうですが構成がしっかりしていてどうしてあんまり評価されないんだろうって不思議に思うぐらいです。長編でないのでそれも一因かもしれません。
そのほかにもみまわしたら多くの作家さんがバレエを題材にした漫画を描かれています。絵柄は思いだせるのに名前が思い浮かばない…。描き漏れがありますがまあここでなら誰も怒られないだろう…。
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バレエ漫画の双璧といえば私の一押しは「テレプシコーラ」です。山岸凉子作。
次いで昔からある「SWAN/スワン」かな。 作者は有吉京子。
「スワン」は幼少時からあって全巻揃えて持っていました。このバレエ漫画はベルサイユのばらとほとんど同時期に連載されていたそうで、かなり古いのですが今読んでもベルばら同様、全く古さを感じさせません。
この漫画の恐ろしいところ? はロシア、ボリショイの気位の高さとバレリーナ同志の感情的な軋轢、競争意識を華麗な絵柄で詳細に描かれているところだと思います。
たとえば…自分の技力を誇示するために部屋のバルコニーに飛び出てバルコニー上でピルエットやフェッテをかますシーン。
作者はこのキャラはどういう場所でも軸をくずさず踊れます、すごいでしょ、という意図があったのでしょう。それを読んだ幼い私は素直に長いことプロのバレリーナさんはどういう高いところでもシェネやピルエットができてしかも軒下とかに絶対落ちないサーカスまがいのこともできるんだ! と思いこんでしまいました。
自分で地味なバレエレッスンを重ねてみると実際にはどういう人でも足は大事ですからそんな危険な荒業なんか誰も挑戦しません。バレリーナは舞台でこそ輝くのですしね、でもストーリーとしてはおもしろくて次はどうなる? さあどうなるの?? と胸をわくわくさせて夢中で読みふけったことを覚えています。
「スワン」は連載終了して数十年たってますけど、不動の人気を誇っています。続編として、主人公の娘もバレリーナを目指し「まいあ」という形で続編連載中です。
主人公には最高のバレエの才能と美しい顔と体型と良い運がついている。それでもなおいろいろと悩みつつバレエを踊るストーリー。わきを固めるキャラのおもしろさと作者様の絵のうまさもあって、これからもずっと永遠のバレエ漫画となっていくでしょう。
次いで「テレプシコーラ」の話になります。




