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第23話・プロの人のレッスン風景

 海外のバレエ団で活躍されている人が休暇をとって帰国、たまたま私はその人のレッスン風景を見れる光栄に浴しました。

 ええ、めったに見れない光景ですもの、邪魔にならないようにしました。鏡越しに見るとやはりレッスン生徒たちも彼女をちらちらと見ています。実物の現役プロを見て気もそぞろかな、というコもいました。

 まだバーレッスンでしかも彼女はレッスン場の一番すみっこにいたのに、まあそこだけライトが当たっているように目立つこと、目立つこと。

 やはりレッスンの位置関係なんか全く関係ないのです。

 踊るのには場所なんかほんと関係ないのです。見る人が見れば正確なパで踊っているのはわかりますからおおっ! と思って見ますね。

 私なんかもうオバサン根性出してガン見してしまいました。彼女にとってはウザかったかもしれません、すみません…。

 がたぶん彼女は自分しか見ていませんでした。他人の行動なんか気にしていたらバレエなんか踊れません、てか他人から注視されてそのど真ん中で堂々と踊るのがプロですからね。

 やはりプロさんは手を抜かないです。ちょっと気に入らないポーズだともう1回ポーズのやり直しや軸のずれを訂正したりして、それはもう丁寧な動作でした。


 センターに入るとポワントです。ポワントもああ、そのトウクッションは日本製ではないな、というか手作りかな? 聞きたかったけどやはり遠慮というのもある。畏れ多いわ…。遠くで見れたというだけでもラッキーだったかも? 

 私が有名な作家だったらインタヴューしまくるのに、残念でしたわ…。古くからの友人たちや先生はもちろん気さくに声をかけておられたけど、海外のバレエ団の話とか聞きたいけどやはり聞けないわ。レッスンに来てここに古くからお世話になった先生に会うことを楽しみにされてきただろうに、初対面の私なんかに声かけられても困るわよね…、でもいつか有名な作家になったら話聞かせてね? と心の中で頼んで帰宅したのでした。


 たま~にバレエの神様の気まぐれ? でこういうラッキーなこともおこるのがバレエレッスンですね。普段のレッスンでも上手な生徒さんを見てあこがれているのですがやはり現役プロはたたずまい? からして雰囲気が全く違う。 

 センターでもポワントでプリエなしですくっとピケで立つ、さあ回ってやったるぜよっ! の気負いなく涼しい顔でトリプル決めてさっと奥へひっこむ。あなたさまは妖精ですか? というはかなげな印象と違ってまあ足の強いこと、強いこと。

 万年ババアリーナの私は強烈な刺激を受けました。ご一緒できて光栄でした、ありがとうございます…。





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