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第2話・友人の体験バレエレッスン

「ヒマだし運動不足だし、バレエでもしようかな?」


 専業主婦の友人からそんな相談を受けて私は喜んで彼女を体験レッスンに連れて行きました。彼女は高校の時の友人です。

 何ももってないので、上は自前のTシャツとスパッツ、バレエシューズは私の足と同じサイズなので予備を貸してあげました。もしこの体験レッスンでバレエが続けられるようだったら一緒にレオタードを買いにいこうね、と言ってました。


 基礎クラスを彼女は一生懸命先生のいうことを聞いて受けてました。身体も堅いですが大汗をかいてがんばっていました。で、レッスン無事終了。彼女は着替えのロッカー室にべったりお尻をつけて座りこんで思案顔でした。

「きっついわ、これ、バレエってもっと優雅かと思ってた…」

 いや~、最初のうちだけよ、慣れたらそうでもないしってなぐさめた私。

「うーん…、慣れるまででも時間かかりそう、それにバーにつかまって先生のまねするだけだし、おもしろいとは思わなかった。私にはフラの方がいいかもなー」

 彼女はそうつぶやいていました。どうやらバレエとフラダンスと迷っていたようです。


 数日後、もしバレエ教室に入会するなら先生に言った方がいいので「どうする?」 と電話した私。

 すると彼女は開口一番こういうではないですか……。

「あのね、悪いけど。私はもう一生バレエをすることはないと思う。だって、体験レッスンの日はよかったけど、その次の日にひどい目にあったのよ、今もそうよ! あれから三日もたつのに、ひどいじゃないの」

「ひどいって何が…」

「あなたは子供の時からバレエをしているからわからないんだ。私はヘタよ、と言いつつもちゃんと最初から最後までバレエを踊っていたし」

「あの……なにか私嫌なことをしたの」

「いいえー、だけど筋肉痛のことをちょっとでも言ってくれたらなって思って」


 筋肉痛!

 そう、彼女は体験レッスンの翌日にひどい筋肉痛に襲われたという。

「ひどいってもんじゃないのよ? トイレにいくのにも私は廊下を這っていったのよ! 下着を下ろすのさえも一苦労なのよ、手が動かないし、肩にもお尻にも届かないのよ! 紙もあそこに拭けないのよ、そのくらいひどかったのよ!」

「そ、そんなに」

「そうっ!」

 彼女はそうとうひどい目にあったらしい。ベッドから床に降りることから始まり、着替えもままならない、首もまわらなかったという。それ、全部バレエの体験レッスンのせいだという。

「大変だったね、でも治るし。毎週1回でも通えばきっとそのうち」

「いいえ。私は痛い思いをしてまでバレエを踊りたくないわー、フラかヨガに行く!」


 そ、そんなに全身麻痺したかとおもうぐらいひどい筋肉痛になったのか……。でも彼女が受講したのはほんと基礎クラスだ。足もそんなに動かしてない。彼女は自分の運動不足を認めていたがこれ以上絶対に無理という。文字通りの「体験」 レッスンになっちゃった……。

 残念な話だったが、バレエってやっぱり全身の筋肉を使うんだなーと思いました。それと印象的だったのが彼女の以下のセリフ。

「あんたって自分のこと、ヘタヘタとかいってたけど、踊ってるじゃんか」

 いっやー、へただよ……と反論したけど、彼女は譲らない。

「バレエ踊ってるじゃんか、ちゃんと」

 音楽には確かについていっていたが、それをきちんと踊りこなしていたとは自分で認めがたい。超初心者の彼女とは見ている視線そのものが違うのだろう。これ、意識のズレというやつかな、確かに私のはバレエらしきものだけど……。

 この点においては平行線でした……。


 N子ちゃん、また気がむいたらバレエしようね…。




 

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