薫の思い人
今日は晴れて清々しい朝。
しかも、俺にとって大切な人達の特別な日だ。
目の前から、表情の暗い祐那が歩いてくる。
「おはよう、祐。・・・綾はまだか?」
「倒れたよ。」
「はっ!?倒れたって!?!?」
「昨日の生徒会の仕事で、ほとんど寝なかったらしい。」
「今は??」
「保健室。」
急いで俺は、保健室に向かって走った。
その後ろには、祐那もついてきた。
(ムカムカする。頭も痛い。)
意識が戻ってきた綾菜。
うっすら目を開ける。
最初に見たものは天井、そして横を見るとカーテンがしまっていた。
(保健室??・・・誰か喋ってる。)
「薫さぁー、どうして告んないの?」
・・・祐?
薫もいるの??
「長く一緒にいると告りにくいんだよ。」
薫の好きな人?
・・・誰だろう??
でもちょっと嫌かも・・・嫌!?
どうして私がこんな気持ちに!??
「ふーん。どこがいいの?あいつの。」
「芯はしっかりしてるのに弱くて、弱いくせして強気なところ。」
「・・・おまえ、それ褒めてるのかよくわかんねーぞ。」
芯はしっかりしてる・・・強気・・・千賀ちゃん??
そーいえば、一緒に帰ったりと仲良かったっけ。
あの時は、何かが嫌で忘れようと思って忘れてたけれど・・・。
・・・嫌って何?
何を嫌って思うの??
・・・そーいえば中学校まで一緒だった子が、高2の時に付き合い始めて言ってたっけ。
「好きだとね、相手のちょっとした行動も気になっちゃうんだよ。ないの?」
あの時はよく分からなかったけれど・・・こういう事??
「俺、今日言ってみるよ。」
「おぉ。頑張れ!!」
言うの?
嫌!!
駄目!!
目の前にあるカーテンをシャッと開け
「まって!!」
いつの間にか叫んでいた。
いきなりの事に驚く祐那と薫。
そして、何も言わず近づいてくる祐那。
目の前に来た祐那と目が合うと
―バシッ―
おもいっきり綾菜の頭を叩いた。
「いったぁー!!何すんのよ!!」
突然の事で抗議する。
「何すんのよ!!じゃねーよ!!いきなり倒れやがって。朝からふらふらしているのに大丈夫だって言い張って・・・いつも無理するなって言ってるだろ!!大体お前は「祐!!・・・もういいだろう。」
薫に言われてハッとする。
綾菜は何も言わず、真っ直ぐ祐那を見ているが、目に涙を浮かべて今にも泣きそうだ。
このままでは、姉弟喧嘩になるのは目に見えている。
「祐、綾には俺から言っとくから、一旦席外してもらえないか?」
「分かった。」
それだけ言うと、保健室から出ていった。