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Tea time   作者: 新海 明加
6/11

2つの声

生徒会室に戻り、仕事に取り掛かろうとした。



(薫は休み。もちろん和も休み。千賀ちゃんと啓君は塾で、羽音ちゃんは習い事・・・祐は来なさそう。・・・私1人!?)



そう思った瞬間嫌気が差したが、気にすることは止めて始めた。



「終わったー。」



終わったと言っても、まだ生徒会総会の冊子だけ。



「今・・・何時?」



時計を見てみると、6時30分に差し掛かっていた。



「やばっ!!もうそろそろ学校でなきゃ。でも、どうしよう。まだ2つ仕事が残っている・・・もうこうなったら仕方ない。家でやろう。」



そう決まるとすぐに、後片付けをし、戸締りを確認してから学校を出た。


最近は、6時でもまだ明るいので、少し変な感じだ。


綾菜の家は、学校から自転車で15分ぐらいなので、電車通の人に比べると近いと思う。


自転車に乗り、家に帰る。


そしていつもの様に



「ただいまー。」



と言う。


そして



「「お帰りー。」」



といつもの声が・・・二重!?


急いで家に上がり、もう1つの声の持ち主を見る。



「遅かったわね。生徒会?」



最初に声をかけたのは、お母さん。



「うん。って言うか、なんで祐が家にいるの!?」



もう1つの声の主、祐那を見た。



「だって俺ん家だもん。」


「そんなことを言っているんじゃなくて、どうしてもう帰ってきてて、くつろいでるのかを言ってるの。生徒会あったでしょ!!」



怒り口調の綾菜に対して、祐那はしれっと



「用事があった。」



と言った。



「何のよ。まさか薫と一緒なんか言わないでしょうねぇ。」


「それは言えない。でも、そのまさかだよ。」


「信じらんない!!私が、忙しい時に2人で遊んでたんだ!!」



普段なら少し怒る程度で気が済んだが、もう怒りが抑えられないほど、綾菜はストレスが溜まっていた。


それが分かっていてか、祐那はそれ以上何も言わなかった。



「綾、祐、ご飯にするわよ。」



この気まずい雰囲気を壊したのはお母さんだった。



「うん。」



祐那は返事をしたが、綾菜は返事をしなかった。


それから綾菜は、食事中も一言もしゃべらず、早めにお風呂に入り、自分の部屋で生徒会の残っていた仕事を片付けていた。


今はちょうど、古武先生に頼まれた決算報告書の確認と収支の計算をしている。


でも、収支が合わない。


そんな時に声をかけられた。



「綾、ちょっといい?」


「何?」



顔を上げずに答える。



「今日の事なんだけれどさ・・・それって生徒会の仕事??」


「そう。」



そう一言言うだけで、顔は上げなかった。

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