今日は何の日?
―ガラッ―
開くとは思っていなかった扉が開く。
「あのさぁー、人の名前呼ぶのはいいけれど、何度も呼んで・・・。俺、名前好きじゃないって言ったよね??」
嫌そうな顔をして言う。
「何で??・・・なんでいるの!?」
「何でって・・・お前の荷物。」
「違くて!!告りに行ったんじゃなかったの!?!?」
「あぁ。これからな。」
「そっか。頑張って・・・。」
最後まで言葉が言えない。
今日はこんなにも感情が脆い。
いつもなら笑って言える冗談が言えない。
でも言わなきゃいけない。
「綾、俺さっ「待って!!・・・最初に・・・最初に私の話しを聞いて欲しいの。」
言えた。
何とかここまで言えた。
後は気持ちだけ。
「うん。」
薫が真っ直ぐ見つめてくる。
恥ずかしい。
顔が熱いのが自分でもよく分かった。
「あのね・・・薫に話したいのは・・・。」
言わなきゃ伝わらない。
でも恥ずかしいよ。
・・・よしっ、頑張れ自分!!
「私、薫が好き!!」
言った瞬間、緊張が解れたのと恥ずかしさでいっぱいだった。
薫も顔を赤くしている。
「あのさ・・・俺・・・。」
薫の言葉に目をつぶった。
聞きたい。
でも怖い。
2つの感情が入り交じる。
「俺さ・・・好きな人がいるじゃん。」
「うん。」
俯くしかできない。
「そいつさ、人に頼まれると嫌って言えなくてさ。しかも弱いくせに強気な発言ばっかするから、周りには何でも出来るって思われて・・・。それ見てると俺がついてなきゃって思うのよ。」
「・・・うん。」
涙を堪える。
・・・やっぱり、私じゃ駄目かな。
笑顔で「そっか。仕方ないね。」と言う為、顔を上げる。
顔を赤くさせ、真剣な目の薫と目があった。
「そんなお前が好きだから。」
「・・・えっ?」
一瞬何を言われたのか理解出来きなかった。
顔が赤い薫と今言われた言葉。
たぶん聞き間違いではないだろう。
「・・・薫が私を・・・好き?」
「あぁ。」
「・・・私、弱くない!!」
「問題そこかよ!!」
「えっ、だって・・・。」
「俺、告ったんだけど。」
「私が最初だったし。」
「1回しか言わないからな!!・・・付き合って下さい!!」
ずっと言われたかった言葉。
自然と涙が出てくる。
「返事は??」
困惑してる薫に、涙目ながらも笑顔を向ける。
そして私の返事は
「お願いします。」
薫も微笑んで抱きしめてくれた。
彼からの最初の言葉は
「無理するんじゃねーよ。余計な心配かけやがって。」
でした。
こんなこと言われて黙ってられる綾菜ではない。
「悪いのはあんたでしょ!!昨日、祐と遊んでるから仕事たくさんきたし。・・・何やってるの??」
肝心の薫は、がさがさと自分の鞄をあさっている。
「あったあった!!」
「・・・私の話聞いてなかったで「はい。」
抗議している私の目の前に、ラッピングされた物を差し出された。
「何これ??」
「開けてみたら?」
言われた通りに開いてみる。
中からは
マグカップ。
「えっ??」
「はぁー。・・・お前、今日何の日か覚えてる??」
今日?
何かあったっけ??
溜息をついた後、薫は
「お前、今日誕生日だろ。」
「あっ!!そういえばそうだったかも「そうだろ!!だから昨日は、祐と誕生日プレゼント買いに行ってたの。」
言った後、照れてかそっぽを向いてしまった。
「ありがとう。」
誕生日プレゼントなんて貰えるとは思ってなかった私は放心状態。
薫も頷くだけ。
そんな薫が可愛く見える。
「あぁ。明日からもお茶よろしく!!・・・もちろんまずかったら入れ直しだから。」
「はっ!?」
前言撤回。
私の彼氏は可愛くない。
でもこれからは、一緒にTea timeを楽しめそう?な予感です。
至らない文でしたが最後まで読んで頂きありがとうございました。