5.VSホッキョクグマ その1
「んなんだぁ? ちっちぇアニマルだなぁ……そうだな、憂さ晴らしとさせてもらうか」
オルカから逃げ隠れた場所がいきなり壊されたと思ったら、でっかいシロクマが出て来た。
プレイヤーネームが表示されているから、敵ではないと思うけど……。
憂さ晴らしって言っているし、とにかくここは逃げた方がいいよね、みっちぇるちゃんっ!
――
いない!!
『アワワ! ごめんね! こういう時は反射的に逃げなきゃだから、シオンちゃんも早く逃げて』
「え、なにこれ」
『ソウダ。これフレンドチャットだよ。フレンド同士だけの回線。シオンちゃんも逃げれたら繋いで』
「逃げるって、え、プレイヤーだよ?」
『アワワ。そっちの声聞こえないけど、多分、あれだよね。プレイヤーだから大丈夫とか思っているよね』
「すごい。超能力者?」
『アノノ。ワルコネではね、肉食性のプレイヤーは他プレイヤーを捕食できるの』
「えっ」
……え?
ええええええええ!
ズゴンッ!
足元の氷が抉れた!? なに! シロクマさんのパンチ!? なんでそんなに強いの!?
うわ、なにその腕。真っ黒で光ってて……え、鉄拳? 比喩じゃなくて、本当に鉄の拳……?
「反応がおっせぇなぁ……あれか? 新規プレイヤーか?」
「あ、はい、そうです。シオンって言います」
「そうかそうか。ラッキーだったな」
「え?」
あ、なんか笑ってる。シロクマさんが笑ってるよぉ。あれかな、新規だから見逃してくれるのかな?
「アニマルユートピアはな、生きるか死ぬか、弱肉強食の理が絶対だ」
「あ~、そうなんですねぇ」
「それを、俺が、骨の髄まで教えてやるよ!!」
グオンッ!
ズガンッ!
「ぎゃぴー!」
掘削作業なの!? 掘削作業なの!?
両手で交互に地面を壊すんだけど! 氷が舞い上がって綺麗だね。でも見てる場合じゃない! 死んじゃう!
「ちっ! ちょこまかと……クソッ、的が小さすぎんだよ」
「やだやだ死にたくないー!」
「うるせえ! ゲームなんだからさっさと死ね!」
「迫力ありすぎるんだってぇ!」
右から薙ぐように鉄拳が振られる。ジャンプすればギリギリ避けきれる。
シロクマがジャンプしてくる。踏みつぶす気だ。でもこれ、逆に相手の方まで走れば避けられる。
……あれ?
どうしてわかるんだろう。
シロクマが何を見ているか、何を意識しているか、次にどう動くか。
それが見える……!
『アワワワワ! シオンちゃん、早く逃げて!』
「ごめん、みっちぇるちゃん……わたし、行けるかも……!」
『ええええええ!?』




