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エッセイ・短編たちのおもちゃ箱  作者: ぽんこつ


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四人の大切な彼

今日はこうなるって分かっていたよ。

ベッドに押した倒された私。

そう。

これから大好きな彼に抱かれるの。

でも。

大好きな彼だけど。

彼じゃないの。

彼の中には、何人もの彼がいるんだ。


激しく荒々しく、欲望のはけ口のように私を抱くのは、リュウくん。

激情的で言葉も乱暴。

でも、私に手をあげることは、決してないよ。

狂おしい程の、愛撫と鬱屈を私に浴びせてリュウくんは、いなくなるの。


そして。

抱き終わった彼はいつも泣く。

「ごめんね」

って。

そう。

彼が大好きなヒデくん。

ヒデくんの瞳から零れる涙をぬぐいながら。

「いいよって。抱きしめて欲しい」

って言っても。

ヒデくんは優しく哀しそうに頭を撫でるだけ。

そして裸の私には触れようとしないの。

ヒデくんとはキスもしてない。


悲しみが覆うと。

やんちゃな、キュウちゃんに彼はなるの。

小さな子供で、すっごく甘えん坊さん。

「お姉ちゃん、裸でいたら風邪引くぞ」

そばにあった私の服を取ってくるキュウちゃん。



もう一人、いるんだけど。

名前は教えてくれない。

たぶん言い方悪いけど。

一番、大人で頼もしい彼。

ヒデくんのことも一番分かってくれてるみたいで。

私にも優しく話してくれる。

「辛くないかって」

他のみんなより低くて柔らかい声で、ある時、聞かれたけど。

「辛い時もある。でも、ヒデくんのこと好きなんだ。小さい頃から、ヒデくんだけは私の味方でいてくれたから」

「あいつも感謝してるよ。茉莉、ありがとうって」

「ヒデくんから聞きたいのに」

「そうだね。でも、茉莉がそばにいる。それだけで、ヒデをはじめ、みんな落ち着いている。あの頃に比べたら……」

私とヒデくんの出会いは養護施設だったの。

物心ついた時には一緒に遊んでいた。

どんくさい私が、いじめられそうになると。

必ず身を呈して守って。

優しい言葉をかけてくれたいた。

「いろんなことあったけど。私は今幸せだよ。ヒデくんと再会できて。一緒にいられるから」

彼の瞳から溢れる大きな雫。

「俺も……」

あっ。

ヒデくんだ。

私はヒデくんの頬に、流れ落ちる温かい想いを。

そっと指先ですくって。

笑って見せた。

拙文、お読み下さりありがとうございます。

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