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エッセイ・短編たちのおもちゃ箱  作者: ぽんこつ


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ひとつだけ

小学生の頃、ずっと好きだった子がいた。

だけど、好きになったきっかけさえ思い出せない。

頭も良くて。

運動も出来て。

気さくで誰とでも話す飾らない子だった。


好きだけど。

学校で会話する事はほとんどなくて。

クラスは一緒だったのに。

たぶん高根の花だったのかな。


サッカーの授業で張り切って。

いいとこ見せようとして。

砂利の校庭なのにスライディングして膝とかすりむいて。

でも、あとで、

「血出てるよって」

声かけてくれた。

「ああ平気」

なんて。

嬉しいくせに、その後の会話ができない。

でも、驚いたような顔は不思議と覚えている。


そう、一度だけ。

たった、一度だけ。

遊んだことがあった。

その子といつも一緒にいる親友の子と。

僕と友達と四人。


どういう訳で遊ぶことになったのか分からない。

どれくらいの時間、遊んだのかも覚えていない。

その子の家の前の道路でバドミントンをしたんだ。

しかも一緒にペアを組んで。

緊張してたからか。

楽しかったはずなのに。

殆ど映像が記憶にない。

会話もした筈なのにね。


でも、ひとつのシーンだけ。

覚えてる。

僕のが近かったのに反応できなくて。

その子が転びそうになりながら、ラケットを伸ばしたけど、返せなかった。

「あんたのが足早いじゃん」

って。

地面にしゃがみこみながら、顔を上げて少し笑った顔。

その言葉の中に勝手に、なんか見てくれてんだって思った。

たぶんフツーの会話なんだけどね。


中学校も同じだったけど。

クラスは違って。

そのまま何もなく。

憧れてたのかな。

かわいいなって。

好きという事を言ってもどうにもならないって思ってたから。

僕には、無理だって分かっていたから。


空を見てたら、ふいにそんなことを思い出した。

会いたいとかじゃなくて。

ただ思い出した。

それだけの話。

星がきれいだからかな。

吐き出した煙草の白い煙が黒に染まって滲んで消えた。

拙文、お読み下さりありがとうどざいます。

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― 新着の感想 ―
無理だって分かってしまう憧れの人、私にもいました。 私は「好き」まではいかなくて、本当に憧れでしたが。 主人公の何とも言えない切なさが伝わってきます。 無理。どうにもならない。 そういうことってありま…
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