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流れ星
私が、あの夜、空を見上げたのは
なんとなくじゃなかった
遠く離れた場所で
新しい生活をはじめた
彼のことを想っていた
どうか夢がかないますように
健やかな日々を過ごせますように
がんばってねって
そうしたら
一瞬のきらめきが
音もなく夜の静けさを裂いた
ただ、まっすぐに
これも奇跡かな
たとえ、届くことはなくても
あの光が、願いを運んでくれる気がした
言葉にできない祈りほど
星に似合うものはない
わたしの想いなんて
小さくて頼りない
ろうそくの灯りみたいなものだけど
いつか、どこかで
彼の頬を、撫でる風になる
それを感じて、笑ってくれたら
なんてね




