ここってホテル?それとも宮殿?
空港はバグダッドにあり、
彼が宿泊するホテルは、そこから南にあるヒッラーという町にあった。
空港で彼を出迎えたのは、ファリード・アル=マスリという名の現地ガイド。
彼の案内で、ヨシヒロは専用リムジンに乗せられ、
ヒッラーへと向かった。
到着までに約2時間。
その間、ヨシヒロはほとんどの時間を眠っていた。
「着きましたよ、マルロー様」
ファリードに起こされ、
彼の手によってスーツケースが運ばれ、
そのままホテルの中へと案内される。
ホテルの名前は——「メソポタミア・オアシス」。
……一目見て、言葉を失った。
「……ここ、ホテル……?
映画のセットとかじゃなくて?」
まるで『華麗なるギャツビー』や『ウルフ・オブ・ウォールストリート』にでも出てきそうな、
超モダン&ラグジュアリーなリゾート施設が目の前に広がっていた。
一般的な日本やアメリカのホテルとは異なり、
ここは広大な敷地の中に個別の邸宅が建てられているというスタイルだった。
案内された“部屋”に入って、さらに衝撃を受ける。
「ここがマルロー様のご滞在先です。どうぞごゆっくりお過ごしください」
……いやいやいや。
「これ、“部屋”ってレベルじゃないだろ……」
つい口に出てしまったその言葉に、ファリードが微笑む。
「ええ、“邸宅”と言った方が正確かもしれませんね。
ただ、これはお客様のご予算に合わせた結果です。
普通の方が泊まる場所ではありません」
——つまり、リュウミが選んだってことだ。
さすがというか、なんというか。
部屋(?)は全部で五部屋。
キッチン、リビング、寝室、プライベートルーム、浴室——
その一部屋一部屋が、ヨシヒロのアパート全体より広い。
総面積は、普段の生活空間の5倍以上。
「……あの女、普段からこんなとこ泊まってんのかよ……」
庶民の感覚では到底理解できないレベルだった。
ファリードが去った後、
ヨシヒロはシャワーを浴びて、そのまま寝ることにした。
浴室に入って、また驚かされる。
——まるで**『アラビアンナイト』**の一場面のような幻想的なバスルーム。
中央に置かれた巨大なバスタブは、
ヨシヒロが10人入っても余裕があるサイズで、
彼がいつも膝を折って入っているユニットバスとは天と地の差だった。
湯に浸かりながら、彼はひとり呟く。
「……広すぎて落ち着かねぇ……」
銭湯でこれくらいの浴槽に入ったことはある。
でも、あのときは周りに人がいた。
今のように、自分ひとりだけが取り残された空間だと、
逆に落ち着かないという不思議な感覚があった。
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