九十六日目
太陽暦934年 8月9日 曇り
ゼノン=クロック 16歳
さて、結果から言おう。
魔竜討伐に成功しました!
ドンドンパフパフ!!
まあ、一応どんな戦況になったかは記録しておこうと思う。どうせ未来の俺は詳細とか忘れてるだろうし。
まず、昼を少しまわった頃、作戦はスタートした。作戦通り、俺は囮役として颯爽と魔竜の前に躍り出た。魔竜が住んでいる場所は山の一部が丸々くり貫かれたような形の空洞となっており、時間に左右されず、常に暗闇という俺にとってはうれしいような嬉しくないような空間になっていた。
勿論魔竜は急加速して俺を仕留めにかかってくる。いつもの俺ならばそれで一瞬でお陀仏になっていたのだが、今日は違った。ここには魔竜が無自覚に放ち放題の魔力に満ちていた。俺が使っている偽装剣は周囲の魔力を俺の力へと還元する。俺の五感は最大限まで強化されており、ぎりぎりで魔竜を避ける。
遅れて魔竜には大量の矢が降り注ぎ、菓子人形兵団が襲い掛かる。俺の役割は必殺のポジションまで魔竜を誘導すること。魔竜の咆哮は一瞬にして、それらを一瞬にして薙ぎ払っていく。矢が当たっているというのに一切魔竜の鱗を突破できていないのを見て、俺はその時、反撃することは完全に諦めた。今更ながら、俺が魔竜を討ち取りたかったという気持ちも結構あったんだなと思う。
命の危機というのは人間の能力を限りなく高めてくれるようで俺は無我夢中で頑張った。具体的には魔術を利用して、ワイヤーを空間に固定して、三次元的に動き回ることで魔竜から逃げまくった。
魔竜はその巨体故にその空間で飛ぶのが難しく、俺はうまく目標の地点へと魔竜を運ぶことができた。
そこまで来たら後は先輩たちのお仕事。正直言って、ここから先は蹂躙であった。
最初に飛び出してきたのはサーシャとヨーキーさんであった。サーシャとヨーキーさんは魔竜の翼を片翼ずつ根本から斬り飛ばしてその加速を封じる。
三番手と四番手は竜体となったステゴさんとトプスさん。どちらも魔竜より一回り小さいぐらいの大きさであった。どちらも四本脚の巨大な竜で、トプスさんの竜体は頭部が特徴的で三本の大きな角と頭部の上の方に盾のような大きな襟飾りがあった。ステゴさんのほうは頭から尻尾に掛けて葉のような形の板が並んでいた。
二人の突進は魔竜を一気に地面に押し倒し、魔竜を地面に抑え込んだ。ここからが蹂躙の時間である。みんな魔竜に攻撃し続けた。魔竜は再生し続けるが、それ以外のことはできない。咆哮しようにも顔は潰され、暴れようにも常に体を動かすための筋肉の腱は何処かしら斬られている。常人なら即死するレベルの魔力の圧も魔法の申し子である妖精達にはあまり効果がない。敏感ではあるが、その耐性は常軌を逸していると言えるだろう。
こうやって、魔竜討伐はなされた。最終的にこの魔竜の評価は熟練の妖精騎士なら単独撃破は可能。しっかりと準備をすれば新人教育に丁度いい程度の強さであったという。
オーデットさんとヨーキーさんはこの結果がわかりきっていたので、俺達を無理矢理作戦にねじ込んだのかなと思った。俺達の同期の中では作戦に参加できなかったガンタスが可哀想だって? それは仕方ない。きっとオーデットさんからいろいろと心得とかを教えて貰っているのだろうと願っておこう。
やっぱり俺達いらなかったなって、バーリングは乾いた笑いをしていた。
フェルファーはお菓子の兵隊が想像以上に役に立っていなくてショックそうだった。
俺はこの戦いを通して、サーシャはステゴさん達との実力の差を改めて思い知った。流星とかじゃなくて、身のこなし等の技術。そこをもっと強化する必要があると思った。
あと、夜は魔竜の肉で焼肉パーティーをした。とても美味しかったです。タレが切れたので新たに作り直さないとな、と思った。あと、ヨーキーさんに給仕はどうかと勧められた。勿論丁重にお断りさせてもらった。焼肉の隣でついでで作る料理がヨーキーさんには受けたらしい。
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所持金:189431スター、15246マニー
身分証:冒険者証(赤)、騎士章
武器等:偽装剣(カフェリアから貰った)、俺の愛剣(ハルル産)、笛、鉄製のブーメラン、鈎爪付のワイヤー
装備等:魔法の眼鏡、魔法のカラーコンタクト、魔法のローブ
所持品:開かずの小瓶、火打石、干し肉、薬草、水筒、方位磁針、救急用具、羽ペン、鉄板等の焼肉セット、魔術基礎(悪魔式)、奪光石、魔術式連絡紙、龍鱗、魔竜の角
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