六百五日目
太陽暦935年 12月30日((火)) ?
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さて、順に沿って書いていこうか。
まずは追加戦力1。これがお昼ごろ。
イリアという精霊と同一化した少女とケーディウスという冒険者の男だ。
地下世界に時差で今やってきたというわけだ。ちなみに彼らが最後である。崩落に巻き込まれたと思ったら古の魔王との戦場が目の前にある。不運この上ないだろう。
確か人間の尺度ではランク7であったか。人間としては強者の部類であるが、単純戦力で言えばここではゼノンと同じく弱者の部類に入る。一芸があるだけゼノンのほうがマシだ。
ただし格上との戦い方は心得ているのが幸いした。すぐに状況を判断し、サポートに回った。ケーディウスがイリアを背負い、イリアが精霊を介して魔術を行使。効果は単純強化。凡夫な精霊の即席の魔術程度では妨害することは不可能。ならば、味方の強化が最善だ。下手に妨害して呪詛を返されたら洒落にならん。
次に追加戦力2。これはさっきから三時間後ぐらいだったか。
これはカフェリアから派遣された戦力だ。つまり妖精である。リスク的な問題で本人たちを呼ぶことはできなかったものの、彼らが遠隔操作することができる人形を送ってきた形になる。戦力的にはほぼ本人と同等程度の実力を出せる。来たのはライグーンとサーシャのペアと荒木である。ゼノンとの縁が深く、尚且つ実力が高い者達だ。佐奈と阿蓮は縁こそ深いものの三人と比べると劣ることやカフェリアの限界的にそうなった。
ちなみにオーデットは万が一カフェリアへ呪詛が飛んできた場合を危惧して傍らに控えており、オルクテスは上に何か言われたのか「これ以上は介入しない」と公言している。ドラグは門番に頼まれて基軸世界の方に既に来ているのだとか。
ライグーン達であるが、これはかなり良かった。
まずライグーンとサーシャであるが、ライグーンは技術面においてその実力はカトに迫るほど卓越している。サーシャの重量変化のサポートを加えることでカトやハクラスの代役を一時的に引き受けることができるほどだ。これによりカト、ハクラス、フェリンの三人にかなりの余裕が生まれる。
荒木は他人の能力を模した武具を生成することができるため、実質的にあらゆる能力魔法を扱うことができ、それを他人に貸与できる。その中には魔王の呪いによる環境に適応することなどが可能なものも。
まあ、ここまで増援が来ても、結局は防戦一方。古の魔王は時間経過とともに力を取り戻しつつある状況。戦況は悪くなる一方なのだ。
戦闘不能という結果は避けられぬものだった。
妖精の増援が来て一時間もしない頃。古の魔王がその呪詛を解き放つ。
それにより、カト、ハクラス、フェリンが瀕死。ライグーンとサーシャが操作していた人形は破壊。ライグーンとサーシャが人形のその身を盾にしなければ三人は即死であっただろう。ゼノンが三人を回収するが、それを追って古の魔王が動く。
呪いの手がゼノンの動きを一瞬止める。流星はあらゆる害ある術式を振り払うが一瞬のラグが発生する。その一瞬で魔王がそこまで動くことは容易であった。
しかし、魔王の手がゼノンに届くことはない。その一瞬の時間を稼いだのは魔物たちという肉壁だった。
王を守らんと、自身の国を守るための最善の策として本能的に体が動いたのだろう。古の魔王は一瞬の躊躇いを見せた。結果として、進路上の魔物たちは死亡した訳だが、ゼノンが逃げ切る事には成功した。
そして、追加戦力3。
いや、目覚めたというわけか。
「やあ、上司からの命令でね。こうなると流石の古の魔王といえど無視できないでしょ。」
ケル。基軸世界に存在する一大学の学長であり門番に作られた魔術生命体。その本質は番犬の模倣体。
「地獄の番犬。その模倣であるが呪いたる君相手なら十分だろう。」
外殻が砕ける。
三つ首の獣が現れる。
「我が名はケル。既に死者たる汝を冥界へと誘う者なり」
怪物の模倣体と古の魔王の残滓。見物だね。
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