五十一日目
太陽暦934年 6月25日 曇り ゼノン=クロック 16歳
現在、俺は毎度変わらず檻の中におります。でも、馬車の中という訳ではない。王都のオークション会場の裏手にある商品置き場にいます。
ちょっと馬車には隙間があったのでそこから外を覗いていたのだが、馬の速いこと速いこと。よく考えれば、この妖精の世界の獣って正直ハルルのときの奴らより強かった気がするし、馬も何らかの強化されていたりするのだろうか。
とか思ってたら、馬車を引っ張っていたのは馬の妖精なのだと。妖精と猛獣の違い分かんねえな。魔法も併用しているらしく、調子が良いときは音を置き去りにしてしまうのだそう。
前に図書館でそのぐらいの速度で走ると衝撃波?っていうのが出て周囲への被害が出るとか書いてあった気がするが、これについても魔法だから特に何も影響はないのだろう。
装備品等々は全く没収されていたりはしない。大部分が鉄でできたこの剣すら回収されていない。
他の奴隷たちの装備品とかは回収されているので、妖精から見て人間がどれだけ貧弱な存在なのかということがひしひしと伝わってくる。と言うかめっちゃ舐められている。
「オークションは明日だ。良い奴に買われたきゃ、自分の商品価値を上げることだな。」
奴隷商の妖精にはそう言われたが、正直どのような行動がそう言う人達に受けるのかが全く分からない。冒険者ランクでも言えば良いだろうか。いや、3なら人間の世界でも自慢にはならないな。
流星を見せるか?
いや、逆に警戒されるな。やっぱありのままの自分を受け入れてくれる妖精が良いな。ありの~ままの~姿見せるの~♪
悲壮感がないだって?
それはそうだろう。
無いように書いているからな。実際は怖いし、苦しいし、今ここで自殺した方が良いんじゃないかって思ってる。奴隷がどのような目にあわされるかとか、最悪を想像もしたくない。
日記の中ぐらいは強がっても良いじゃないか。逆か。普通は現実で強がって、日記で弱音を吐露するもんか。
あ~、でも、よく考えてみると分からないな。未来の俺さ、無事だったら教えてくれよ。どっちがより一般論に近いのかをさ。




