四十日目
太陽暦934年 6月14日 濃霧 ゼノン=クロック 16歳
はてさてなて。
霧で遭難し始めて早三日目である。今日はとても面白いことがあった。
朝起きた時、なんと肉の塊がポンっと枕横に置かれていた。しっかりと火が入った状態で。凄いウェルダン。このデカさをここまで焼くのには相当の手間がかかっただろう。
正直な話、昨日の時点から考えていたが、どうやら俺は誰かの手によって意図的にこの空間に囚われているように感じる。
ノーフェスがはじめ修行のためにやっているのかとも思ったのだが、正直、それはないと断言できる。ノーフェスの修行にしてはぬる過ぎるからだ。修行を付けるとなればひたすら実戦形式で体を動かして、飽和攻撃でボコボコにしてくるのがノーフェスだ。
それと比べればここに出てくる猛獣は何とか対処できる程度に調整されている。霧もあるが、ノーフェスなら日光も通さないぐらいの濃霧にしてくるだろう。
そんなことを考えているとノーフェスが前に言っていたことを思い出した。
「前に精霊の話をしたことはあったよね。それとよく混合される存在として妖精って言うのがいるんだ。生息地域も被ってることが多いし。妖精も精霊と同様に自然を操る力があるんだ。そして、厄介なのが幻術なんだよね。彼らの幻は世界すらも騙し、現実と同じ強度を得る。何よりも悪戯好きだとか。目を付けられないように気を付けてね。」
精霊の住む森。これでだけでも容疑者に妖精を上げるのは十分すぎると思う。
まあ、本当に普通に遭難している可能性も捨ててはいけないことはわかってるのだが、妖精によって作られた空間に囚われている可能性も捨ててはいけない。
妖精に惑わされ続ける道化を演じるべきか、それとも一刻も早く脱出するために四苦八苦すべきか。
まあ、いいや。難しいことは明日考えよう。眠いし。
それじゃあ、お休み。
良ければカクヨムの方にも見に来てね。




