三十九日目
太陽暦934年 6月13日 濃霧 ゼノン=クロック 16歳
朝起きても、結局霧は晴れていなかった。
猛獣に襲われるようなことはなく、一夜を過ごせただけでも儲けものだろう。
しかし、一夜明けてこの濃霧の森の雰囲気が変わったことは俺にも分かった。まず一つ目は、ところどころで光の粒が浮かんでいたことだ。つまり、精霊がいるということだ。
次に二つ目風が吹いていた。しかもただの風じゃない。まともに立ち止まることが苦しいレベルのものだ。そんな風が吹いているのにどうして霧は晴れないんだって?
知るか! 俺が聞きてえわ!
そして、三つ目は猛獣の出現であった。霧でまともに姿は見えないが、それでもこちらを狙っている気配はわかる。
突然、目の前に現れる大鎌の様な三本爪には流石にビビった。幸いなことに外傷を負わずに討伐することはできたのだが、胴体と思わしき部分を剣で貫くと猛獣は靄のようになって消えてしまったので、どのような姿をしていたのかを確認することはできなかった。残念である。
その他にもいろいろと絶え間なく猛獣が襲ってきたのだが全てそんな感じだったのだ。不思議な生物もいたものである。
ちなみに夜は猛獣は襲って来ていない。俺が今、腰を据えて日記を書いていることが何よりもその証拠だよね。まあ、でも風は健在なので今も俺は木の影に隠れている。不定期に風向きが変わるのはマジてよしてほしいと思う。転んで頭打って死んだらそれこそ笑えねえよ。
もしそうなったら、冥界か黄泉の国か知らねえけど、後から来るであろうアスマラさんとかにどんな顔で説明すればいいんだか。まあ、在るか知らねえけど。
まあ、今日も夜襲われないことを祈りつつ寝ます。明日があると嬉しいな。




