三十六日目
太陽暦934年 6月10日 晴れ ゼノン=クロック 16歳
今日は昨日上陸した無人島を探索した。
メンバーは昨日話した通り、俺とノーフェス、クウォールにとなった。
初めは岩壁を登っていくのかと思ったのだが、ノーフェスが
「こういうところは手順通りに行くことの方が、吉なことが多いんだよ。」
と言って、岩壁に空いた大きな洞窟に入っていった。それに続いて洞窟に入っていくと、洞窟内の岩壁にはキラキラとした綺麗な石がたくさん埋まっていた。
「これは、凄まじいな。」
ノーフェスはそれを見て、唖然としていた。
「これは、ヤバいところに上陸してしまったかもな。」
ノーフェスは冷や汗をかいていた。
普段は見せないような焦りようが見て取れたので、俺は何が凄まじいのか聞いてみた。
「そうだな。この石は遥かな昔、魔王や魔族が誕生した頃に存在したとされる伝説の石と言えばいいのかな。現存しているのは魔術の祖がメヤタルナ魔術大学に残したとされるほんの数キログラム程度と言われていたんだけど。」
説明はもうちょっと続いた。オタク特有の早口というのか、内容も結構難しかったのであまり、覚えてはいない。
この石は当時はゴロゴロあったのだが、時間の経過と共にどんどん数を減らしていったようだ。
使用用途としては、魔力への変換が一般的なのだとか。一応、過去の文献曰く、それ以外の用途が無い訳では無いようなのだが、それは解明されていないのだとか。
取り敢えず、凄まじいエネルギーを秘めた石ということがわかった。
現在の魔術体系においては、その石が一欠片あれば無限に魔術が使えると言われるほどエネルギーを秘めているらしい。まあ、これは魔術における価値交換の法則というものが関係しているらしい。
何言ってるか分からない? 大丈夫俺もだ。
でも、ノーフェスはそれを回収はしなかった。理由としては、回収するなら帰りでもいいし、何より嫌な予感がしたのだとか。確かに、そんな伝説上の宝物を持っていれば誰に襲われてもおかしくはない。
何より、魔法を扱うノーフェスにとってはあまり意味がないのだとか。
「数が少ないってだけで俺にとっては綺麗な石って認識だからな。」
魔法や魔術は個々人の価値観によっても大きく影響されるらしいと、今日俺は知った。
洞窟をしばらく歩いていると、日の光が差した。ずっと昔に洞窟の天井が崩落したようで、俺達はそこから、島の岩壁内部にある森の中に入っていた。
洞窟の奥は凄まじかった。今まで見てきた魔獣や獣とは格が違うような猛獣がうじゃうじゃといた。
巨大な爪と強靭なあごを持った大猿の群れ。
民家を軽く片足で踏みつぶせるぐらいデカい火を吹く巨鳥。
数万という数の暴力を見せつけてくる一糸乱れぬ肉食ウサギの大群。
上げ始めたらきりがない。どう考えても魔獣だろと思ったのだが、魔獣ではないらしい。
もう訳が分からないよ。
そして、もっとも訳が分からないのはそんな奴らをフルボッコにして、猛獣のボスとなったクウォール。
明日からクウォールの兄貴と呼ばせてもらおうと思ったのだが、ノーフェスとクウォールに拒否られた。残念。




