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勇者日記  作者: かざむき
ハルル編

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三十二日目

太陽暦934年 6月6日 雨 ゼノン=クロック 16歳


 今日も今日とて雨である。

 雨ってなんか、気分が沈むよね。


 今日は昨日と同じように訓練をした後、この日記をノーフェスに見られた。


「ゼノンは誰に向けてこれを書いてるんだ?」


と言われた。確かに、自分の気持ちをつらつら綴るにしては、俺以外の誰かへと向けた感じの書き方もしている。今がまさにそれだ。


 まあ、俺としては正直どっちでもいいと思ってる。

 この一日を将来の俺はきっと忘れているだろう。歴史にも残るような大冒険をしても、細かい一日一日の記憶を残して置けるほど俺の頭は良くないだろう。

 過去の俺が紡いだ旅路は老いた俺にとっては別人の冒険になると俺は思う。そのとき俺が楽しめたらそれ以上はないだろう。黒歴史になるかもしれないが、その時は燃やせば良いだけだしな。


 遠い日に発見されて当時生きた人間の資料の一つにでもなれたらそれはそれでうれしいと思う。有名人ってなんか憧れるじゃん? 魔王がいた時代を生きた人と言うだけで有名になれるならこれほど楽なことはない。



 この際、ここに未来の俺に向けてメッセージを書こうかなと思う。

 おい、そこの俺! 何もなかった日か~っとか言って次のページ行くんじゃないぞ!!!



 えーっと、それでは改めまして、俺はゼノン。ゼノン=クロックです。

 未来の俺は元気ですか? もしかして、名前変わったりしてますか?


 未来の世界はどうなってますか?

 俺は夢を叶えましたか? それとも、まだ夢を見ていますか? もしくは夢から醒めましたか?

 俺は今、夢を見ています。叶いもしないような無謀な夢を見ています。

 酒場でのたった一言から始まった旅はまだ始まって間もないですが、既に体が壊れそうです。でも魔王を倒すことを目標にしているならこのくらい乗り越えられないといけないと思ってます。

 現在は船上でノーフェスに訓練を受けて少しずつ少しずつ小さな一歩を積み重ねていると思います。


 未来の俺は今の俺と魔王にどのくらいの隔たりがあるか知っていますか?

 俺は先日あったノーフェスと魔族との戦闘を見て現実の厳しさを知りました。多分、今の俺には想像できないぐらいの隔たりがあるのだと思います。

 それでもくじけずに頑張っていきたいと思います。


 俺は魔王を打ち倒した後の世界では魔獣や魔族に脅かされない世界がくると思っています。でも、それも夢物語なのかも知れません。

 俺は平和に生きれる世界が欲しいです。自分にとって大切な人達が笑顔で楽しく生きていける世界が欲しいです。だから、魔王を倒すことだけにこだわらないでください。

 魔王を倒すことは手段の一つです。大切なのは現実にしたい夢物語です。それを忘れずに冒険をしていることを願います。


 最後に後悔はありますか?

 きっとたくさんあると思います。でも、きっと俺はそれを乗り越えることができると信じています。



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