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 その後2.2倍ゴブリンと、正午まで戦い続けた。その結果、工夫すれば2.2倍ゴブリン戦を疲れず行えることが判明し、ならば午後は休憩無しの連戦にしてみようという事になった。訓練強度と輝力量増加には、正比例の関係があるように感じる。訓練がキツイと体が本能的に輝力を増やそうとする、みたいなイメージだね。

 昼食中は、健康スキルの等級を上げる方法について美雪と話し合った。といっても俺が閃いた「健康スキルに興味のある仲間達と勉強会を開くこと」に美雪も賛同したため、話し合いは勉強会の時間の捻出方法に終始した。9時に就寝したい俺にとって、夕食後の時間確保は簡単ではなかったのである。また俺が時間を確保できても、その時間に参加可能な人が誰もいないなら本末転倒になってしまう。よって今日はとりあえず、自分最優先で過ごしながら皆の過ごし方も観察してみる事にした。実際にやってみないと、何も判らないしさ。

 食後の昼寝を経て、午後の訓練を始めた。計画どおり、午後2時から4時40分まで休憩無しに2.2倍ゴブリンと連戦してみる。確かな手ごたえを得られたので、暫くはこれを続けてみることにした。5分間休憩し、同45分から100メートル走の訓練に移ったところ、予想外の事態になった。俺の訓練を見ていた奴らが、どよめいたのだ。7歳のこの時期は、午後4時や5時に訓練を終える子供達が全体の半数を占める。その4時終了組が、孤児院へ帰る道すがら俺の無休憩連戦を見て興味を示し、そのまま見学していたらしい。といってもその時点では興味を覚えたに過ぎず、夕食時の話題作り程度の感覚だったそうだが、輝力を用いない100メートルダッシュは違った。輝力操作に長けるほど強くなれると信じていた皆にとって、輝力を用いない筋力だけの訓練など、想像したことすら無かったそうなのである。かくして皆どよめいたのだけど、それは俺にとって福音となった。健康スキルの勉強会の広告に使えるんじゃないかな、と閃いたんだね。よって俺は嬉々として、こう呼びかけた。


「突然だけどみんな、俺は昨日の午後の試験で25戦したんだ。その終了時の俺の様子に、今のダッシュが実は関係してるんだよね。百聞は一見に如かずっていうし、終了時の俺の映像を見たい人は下りてきて」


「やった~」「うえ~い」等々を口ずさみ、みんなお祭り気分で訓練場に下りてきてくれた。楽しげなその様子に大丈夫かなと内心冷や汗を掻きつつ、25戦終了後の1分間の映像を美雪に映してもらう。幸い効果は期待以上で、汗もかかず呼吸も乱れていない俺にみんな度肝を抜かれたようだ。鉄は熱いうちに打てとばかりに、俺は語り掛けた。


「輝力操作に長けるほど強くなるのは、絶対的に正しい。ただ年齢的に体がまだ出来上がっていない俺達には、裏事情もあってさ。輝力を用いない筋力だけの訓練をすると、幼い体に疲労が蓄積して、怪我や病気を招くことがあるらしいんだよ。それを防ぐためにも輝力主導の訓練を推奨しているんだけど、俺は健康スキルを持っていてね。輝力を用いず肉体を酷使しても、一晩寝れば疲労を完璧に消せるんだ。だから純粋な肉体訓練も取り入れていたら、こんなふうに汗もかかず呼吸も乱れなくなった。俺が昨日の試験を合格できたのは、健康スキルのお陰なんだよ」


 白状すると俺は3歳のスキル審査で、三大有用スキルを一つも持ってなかったんだよねアハハ~~と、笑って付け加えたところ。


「「「「エエエ―――ッッッ!!!」」」」


 訓練場に驚愕の大爆発が起こった。続いて皆が詰め寄ってきて俺は質問の集中砲火を浴びるも、質問のほぼ全てが「戦闘順位を幾つ上げたの?」のたぐいだったため落ち着いて返答した。


「俺も今朝初めて知ったんだけど、610万近く上げたみたい」

「「「「エエエエエ―――ッッッッ!!!!」」」」


 さっき以上の巨大爆発が訓練場に轟いた。次いで混乱状態になり、こりゃ声を幾ら張り上げても無意味だと悟った俺は、美雪に頼み空中に「輝力を使わず軽業をします」の3D文字を映してもらった。幸い軽業という語彙にみんな興味を覚えたらしく、5秒ほどで全員が訓練場に体育座りしてくれた。20人ほどの子供達のキラキラ輝く瞳が一斉に向けられ、正直言うと死ぬほど緊張した。が、


 タンタンタタ―――ン♪


 3連続バク転からの後方伸身2回宙返り2回ひねりを連続してしたら大受けし、拍手喝采を頂戴することが出来た。素直に照れたところ爆笑が沸き起こり、場が一気に和む。その和んだ空気に心の中で手を合わせ、本命を放った。


「まだ確定じゃないんだけど、今日の夜8時半から20分間、健康増進の勉強会を食堂で開こうと思ってる。興味があったら参加してね」


 その直後、ある意味この星で最大の想定外に襲われた。皆が皆「参加する!」「ありがとう~!」と、口々に言ってくれたのである。嬉しくて涙ぐんだ俺を、きっと助けてくれたのだろう。野郎共が一斉に立ち上がって俺を包囲し、締め技とクスグリを仕掛けてきたのだ。そうこうするうち勉強時間が半分の30分になってしまったけど、収支は大黒字だったと俺は胸を張って言えたのだった。


 ――――――


 30分しかなかったので午前の数学の続きをして、6時から体育館でシャワーを簡単に浴びた。そしてノンビリ着替え、これまたノンビリ孤児院に帰っている道中、


 シュバッッ


 母さんがテレパシーを送ってくれた。1分の映像と400字ほどの情報を一瞬で受信できるテレパシーは便利な半面、早すぎて寂しくもあるなあ。などと考えつつ食堂に着いたのが、午後6時20分。ふと、食堂の隅に犬猫用の食事処兼睡眠処が設けられていることを思い出し、何気なくそこへ足を向けてみたところ大正解だった。虎鉄を含む2匹の犬と5匹の猫が、そこに集結していたのだ。俺が合流したことで7人の飼い主も勢揃いし皆でワイワイしていたら、夕ご飯の開始時刻になった。夕飯も朝食に負けず盛り上がり、6時55分から始めた後片付けも二度目と言うこともあって3分かからず終わった。お陰で大浴場のプール湯船と裸の付き合いを心ゆくまで堪能しても、101号室に戻ったのは午後7時半だった。さて1時間何をしようか、と思う間もなく相部屋の皆が勉強を始めたので俺もそれに乗っかった。想像以上に捗り、実際にやってみなきゃホント判らないなと感慨にふけりつつ机を後にしたら、


「あれ? みんなも出かけるの?」


 俺以外の9人も同じタイミングで机を後にしたのである。うち2人はさっきの軽業を見ていたため予想できたが、残りは不可解。まあでも前世の連れション的な文化がここにもあるみたいなので、深く考えずドアを出て食堂へ足を向けたところ、少々困った。何かの集まりがあるらしく、大勢の人が食堂にいたのだ。幸い食堂の隣の玄関にも休憩スペースがあって20人くらいなら余裕で座れるから、勉強会に参加してくれる人達に事情を説明し、そっちへ移動してもらおう。との予定変更を最初に伝える人として、さっき俺をクスグリまくった野郎共を探したところ、


「おっ、翔が来たぞ!」


 クスグリ野郎の一人が俺を見つけてそう言ってくれた。あいつ気の利くイイ奴じゃんありがてぇ~、と手を振ろうとしたまさにその時。


「「「「こんばんは~~!!」」」」


 食堂にいる全員が一斉にこっちに顔を向け、声を揃えて挨拶してくれたのである。直前まで談笑していたのだろう全員ニコニコしており、するとこっちも自然に嬉しくなるのが人というもの。俺も笑顔で挨拶し、皆がこっちを見てくれているうちに隣の休憩スペースへ移動するよう十数人に呼びかけようとしたら、


「「「「今日はヨロシク~~!!」」」」


 なんて言葉を全員が続けて放った。ここに至りようやくある可能性に気づいた俺の背中を相部屋の奴らがグイグイ押し、食堂北側の中央に連れていく。そして「頑張れよ」「講義、期待してるぞ」「グッドラック!」と言い残し、9人は俺を置き去りにして椅子に座ってしまった。空席は鈴姉さんの席と、俺の席のみ。99人全員が、期待の眼差しを俺に向けている。ここでようやく、数秒前に気づいた可能性が正解だったことを知り、ヘタレの俺は腰砕けになりかけたのだがなぜか、


「では呼吸から始めます」


 落ち着いた声で、皆にそう呼びかけたのだった。

北海道の釧路湿原国立高原に、メガソーラーを造られてしまいました。国立公園にこのテの設備を設けるのは法律で禁じられてきたのですが、国会議員達が法律をコソコソ通し、建設可能にしてしまったのです。もちろん太陽光パネルは、中国製。奈良や静岡で問題になっているのも、韓国や中国製ですね。


断言します。この国の国会議員と役人は、腐りきっています。

このテのことを報道しないマスコミも、腐りきっています。


どうか皆さん、次の選挙だけは投票してください。

日本を変える第一歩を、皆で踏み出しましょう!!

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