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お姫様と仲良くなった話 そのオチ

これ入れて後2話です。

 ――さてさて、それでは今回のオチを話そうと思う。




 私が勇者を闘技場から吹っ飛ばした後、王様は約束通りルナちゃんの婚約を破棄してくれた。

 案の定、勇者パーティーの3人は反論してきたけど、私が「今度は貴方達が相手をしますか?」と睨みつけると大人しく黙ってくれた。


 それからルナちゃんは勇気を出して、自分が街を出歩いている事、これからも街を出歩きたい事を王様に話した。

 案の定王様は否定するかと思いきや、なんとすぐに認めてしまう。これには私とルナちゃんも流石に驚いた。

 まぁ、ルナちゃんがこれからも出歩けるのなら全然良いんだけど、なんか拍子抜けだった。姫である娘が護衛も付けずに出歩いていたんだし、もうちょい王様も驚いたりとか、怒ったりとかしないのかなぁ?


 あ、そうそう。そういえば勇者なんだけど、流石にボコボコにしすぎちゃったみたいで、医者が言うには完治するまで半年はかかるとの事だ。


 そして、私が「もう自分勝手をしない事。他人に迷惑をかけない事。そしてルナちゃんに今後一切関わらないと約束する事。さもないと次は…………」といった感じで病室のベットで寝ていた勇者の胸ぐらを掴み拳を突きつけて脅すと、勇者はアッサリとそれを認めた。

 あの脅された時の怯えた顔、どうやら本当に今回の件で懲りたみたいだ。へへ、ざまぁみろ。


 がしかし、ここで問題が発生する。勇者が完治するまでの半年間、魔王の相手をする人がいなくなってしまったのだ。

 迂闊だった。アイツは腐っても勇者、この世界では魔王を唯一倒せる存在らしい。なので当然、代わりがいないようで。王様はその事で頭を抱えていた。


 …………まぁ、でも、何はともあれだ。ルナちゃんを助ける事が出来たし、なんとか一件落着かなぁみたいな?そんな感じで、この王国での一件は片付いたのだった。


「…………さてさて、これからもうひと頑張りするかぁ」


 そんな独り言を呟きながら、私は出国する為にこの王国の門へと来ていた。


「お、昨日の姉ちゃんか。もう観光は済んだのか?」


 昨日もいた門番の兵隊さんがそう話しかけてくる。私は微笑みながら頷いた。


「はい、とってもいい国でした」

「そうかそうか、なら良かった。またいつでも来てくれよっ」

「ええ、そうします」


 そして、私は心の中でずっと気になっていた事を聞く。


「この国って、見回りをしてる兵隊さんがやけに多いですね。何かあったんですか?」

「あぁ、それか。そうだな、まぁ、気になるよな……」

「?」


 言い淀む門番に首を傾げる。門番は少し悩んだ後、「今から話す事は秘密にしてくれ」と私に言ったのでコクリと頷く。


「実はだな。この国のでは時々、姫さまが街を出歩いているんだ」

「……へ?」

「それでな。王様はそれを密かに知っていて、姫さまが危険な目に合わないように、王様の命令で国の治安を強化する名目で、兵隊に密かにルナちゃんを見張らせてるんだ」

「え、えーと。本当ですかそれは?」


 信じられずそう聞き返すと、門番は苦笑いをしながら答える。


「信じられないか?だが、全部本当だとも。全く、この国は元から治安がいいから必要ないってのに。王様も過保護なこった。俺たち兵隊だって数に限りがあるってのにな…………」

「その事をお姫様自身は知っているんですか?」

「ん?いや知らないぜ。この国にいる全員、ちゃーんと秘密にしてる」

「えっ!?国民全員知ってるんですか!?いや、嘘ですよね流石に?」

「驚いたか?まぁ無理もないな。こんな話、普通は信じられねぇよな。だけども事実なんだなぁ。コレが」



 門番の話し方からして、冗談を言ってるふうには見えなかった。まさかまさか、本当にルナちゃんが出歩いてるのを王様は、この国の人々は知っていたのか?


 だが、これを聞いて少し納得はした。とゆうか、辻褄は合っているような気がした。

 だから街ですれ違う人々やパンケーキのお店の店員さんは、顔を隠してない一国の姫にも驚かず、そして王様も素直に認めることが出来たのだろう。

 しかし、じゃあなんで秘密裏にしているのだろうか?


「なんで秘密にしているんですか?」


 疑問を聞くと、こう返ってきた。


「さぁ、それは知らないけど…………まぁ、多分あれだろ。王様は自分が過保護なのがバレて、姫様に気持ち悪がられるのが嫌だったんだろ。『娘の安全は守りたいが、近寄りすぎて嫌われるのも……』て感じでさ。なんつうか、父親の心理ってやつ?俺にも同じ年頃の娘がいるから、正直分からなくもないんだよなぁ」

「は、はぁ……」

「まっ、ここの国民は王様のことも好きだし、別にそのぐらいのことなら秘密にしても良いって思ってるよ」

「そうなんですか……」


 門番の推測に反応に少し戸惑う。国民が全員知らないフリなんて信じられない話だ。

 でもまぁ、もし本当にそうなら国民にまで強要するのはちょっとキモいけど、娘想いのいい父なんだろう。という事にしておこう……かな。うん。


「ユリコさーーん!!!!」


 その時、後ろから私の名前を叫ぶ声が聞こえた。


「あ、ルナちゃん!」

「な、なに!?」


 私がルナちゃんを呼ぶと、その名前に門番は驚く。


「ハァハァ……良かった。まだ出国なされてなくて…………」


 そう、ルナちゃんがこちらに向かって走って来たのだ。


「お、おい姉ちゃん。まさか姫さ…………この子と知り合いなのか?」

「え、えへへ……まぁ、一応……」

「はい……!私は……ユリコさんの……親友……です!!」


 ルナちゃんは息切れしながらも、精一杯そう告げる。


「えーと、大丈夫ルナちゃん?凄い息切れしてるけど」

「ハァハァ……はい、大丈夫……です!」


 そう言ってルナちゃんは少し息を整えてから、ゆっくりと顔を上げる。


「ユリコさん……今回は本当に有り難うございました」

「ハハハ、いいっていいって。私がルナちゃんを助けたかったんだから」

「ユリコさん…………」


 ルナちゃんは今にも泣き出しそうな顔をしている。


「それ、付けてくれたんだね」


 私はルナちゃんの頭に付いている赤い薔薇の髪飾りを指さした。昨日ルナちゃんに買ってあげたやつだ。


「はい。ユリコさんから貰ったプレゼントですから。絶対にこれは、私の宝物にします」

「へへ、大袈裟だなぁ〜。ルナちゃんは」

「そ、そんな事は有りませんよ!家宝にしてもいいくらいです!」

「えっ。そ、そっかぁ……。流石に家宝には勿体ないと思うけどなぁ…………」


 そんな事を言ってるうちに、もう段々と日が沈んできた。先を急がないといけない為、もうそろそろお別れの時間だ。


「さてと、それじゃあそろそろ行くよ」

「ユリコさん……」


 こうして、私はルナちゃんに背を向ける。


「門番さん」

「はいよ」


 門番が返事をすると、ぎぃぃぃぃという音を立てながら木製の大きな門がゆっくりと開いた。


「じゃあまたねルナちゃん。元気でね」


 そう言って、私は振り向かずに後ろに手を振りながら歩いていくのだった。


「ユリコさん!!」


 またしても、ルナちゃんの叫び声が聞こえる。あぁ、本当に元気でね、ルナちゃん。また来るからね…………。





「私はいつまでも、貴方をお慕いしています!!!!」


 がしかし、ルナちゃんの言葉で後ろ振り向くこととなった。


「「………………えっ」」


「私、可愛くて、凛々しくて、魅力的なアナタを見ていると、考えていると、胸がドキドキして仕方ありません!!どうやらこの二日間で、アナタの事が好きになってしまったみたいなんです!!愛してしまったみたいなんです!!」


「「……………………」」


「私は本気です!本当にアナタが好きなんです!なのでユリコさんから貰ったこの薔薇の髪飾りと、あの白いコスモスをユリコさんだと思って生きていきます!そして貴方のことをいつも、どんな時でも想っています!!今は親友ですが、私はいつか必ずアナタの愛人になりたいと思っているのです!!なので…………」


 そして、ルナちゃんは言い切った。





「私は、いつでもユリコさんと結婚をする日をお待ちしています!!!!!!」


 私に熱烈な愛の告白を、そして求婚をして来たのだ。

 なのでだ。私は、いや、その場にいた門番さんも一緒に、当然…………。



「「えええええええぇぇぇぇ!!!!?????」」



 と、驚かずにはいられなかったのであった。



 という事で、私が人生で初めて求婚を迫られた相手は、一国のお姫様となったのだった。

 あ、そうそう。この後に私は勇者の代行として、1人で頑張って魔王を倒し、一晩で魔王軍を壊滅させるのだが、それはまた別のお話だ。


 とゆうことで、今回の出来事はこれで終わりだ。

次で多分ラストです。

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