その24
「うわぁぁぁっ!」
せりかは剣を出現させ、むちゃくちゃに真空波を放ちました。リリアンナのレイピアがはじき飛ばされます。
「ちぃっ、調子に乗りおって!」
勇樹の突きを反転してかわし、レイピアを拾おうとしますが、せりかがなぎ払うように剣をふるいます。足で剣をガードし、そのまま蹴り上げますが、せりかも身をかわし、左手にも剣を出現させました。回転しながら左手、右手と連続して切りかかります。リリアンナもおどるように足で剣をはじきます。
「二刀流に慣れていないようだな、ドリーミアンの少女よ!」
「そんなの関係ない、あなたを倒して、彩乃さんが大好きだったこの世界を、わたしは守る!」
リリアンナが足を蹴り上げたすきに、せりかは手首をむちのように振って、剣を投げつけました。突然のことにリリアンナが身をよじります。よけられますが、再び剣を出現させ、せりかがリリアンナを切り裂きました。浅い傷でしたが、リリアンナの腹が赤くにじんでいます。
「これで、終わりよ!」
左右の剣を交差させて、せりかがリリアンナに切り下ろしました。しかし、リリアンナの手前で、剣が硬いものにはじかれたのです。ピンク色の光が、リリアンナをおおっています。
「バリアの魔法? ならっ!」
せりかの剣が黒いオーラにおおわれました。
「魔法を吸収するこの剣なら!」
黒い剣で切りつけますが、やはりリリアンナには届きません。
「どうして? 魔法なら、この剣で無効にできるはずなのに」
「くくく、まさかここまでてこずらされるとは思わなかったぞ、ドリーミアンの少女よ。だが、もうそなたの剣はわらわに届かぬ。この光の膜は、魔法などではない。わらわがためこんだレーヴそのものだ。このエネルギーの膜は、いかなる武器をもってしても破ることはできないのだ」
「そんなこと、やってみないとわからないわ!」
むちゃくちゃにリリアンナに切りつけますが、剣はすべてピンク色の光に防がれ、リリアンナにかすりもしません。再びあざけるような薄笑いを浮かべ、リリアンナは立ち上がりました。せりかの剣をよけることすらせず、落ちていたレイピアを拾ったのです。
「さあ、終わりだ、ドリーミアンの少女よ」
リリアンナがレイピアを突いたとたん、せりかの右肩から真っ赤な血がふきだしました。悲鳴とともにバランスを崩しますが、それでもせりかはリリアンナに剣を向けます。
「無駄だというのがわからぬか」
今度は左肩から血がふきだしました。剣を落としても、せりかはリリアンナをにらみつけます。
「獣のようなやつだな。だが、もう終わりだ」
最後の突きが放たれ、全身が燃え上がるような痛みに襲われました。ついにせりかはその場に倒れ、目の前がまっくらな闇に覆われたのです。
――せりかさん――
誰かが自分を呼ぶ声がします。起き上がろうとしましたが、からだが思うように動きません。むしろ、今自分が立っているのか、座っているのか、それとも寝ているのかすらわかりませんでした。
「誰なの、あなたは誰なの?」
かろうじて声は出せるようです。しかし、見わたす限り真っ白な世界で、人影はおろか、なにも見つけることができません。それでも声だけは聞こえてきます。
――もうすぐあなたは元の世界に戻るわ。そうしたら、あなたの持つレーヴを全て開放して、この精神世界を破壊するように願って――
その声は、以前聞いたりりあの声そのものでした。せりかは思わずさけびます。
「そんな! そんなことをしたら、りりあさんはどうなるんですか? あなた、りりあさんですよね? りりあさんのたましいなんでしょう?」
――わたしのことは大丈夫。あなたはドリーミアンの次元を守ることだけを考えて。あなたが最後の希望なの。あなたがここでリリアンナを倒せなければ、全ての次元はリリアンナの手に落ちる。そんなことになってはいけないわ――
「でも……」
――もう時間がないわ。さあ、あなたにクレを返します。お願い、わたしが大好きだったこの次元を守って――
せりかの目の前に、ふわりとロップが現れました。ロップはなにもいわずに、ぽんっとクレに戻りました。
――頼んだわ、お願い――
再びせりかは、まっくらな闇に落ちていきました。
その25は本日1/29の21時台に投稿予定です。
次話が最終話となります。
最後までお楽しみいただければ幸いです。




