現代っ子
初投稿です。大して面白くない話だと思いますが、だんだんと良くしていきたい、週一くらいで上げていけたらいいな、って感じなので、ゆるーく楽しんでください。
「ビルの工事ウルセエェェェ!」
悲しみのあまり、ビルに向かって叫んでしまった。
俺の名前は河井宗介。
友達はほぼいない。
たまに話す奴が数人いる程度のいたって普通の大学2年生だ。
別に良くもなく悪くもない高校を卒業して、
良くもなく悪くもない大学へ入り、
良くも悪くもない生活をしている。
まあ、特に特徴のない一般人だと自分でも思っている。
それでも自慢できることもあって、小学校からずっと続けてきた剣道で2段を持っている。将来嫁さんができたら守れるように、努力をしてきたつもりだ。
今のところ、彼女ができることが俺の望みだ。
普通だが、幸せな日々を送っている。
そんな幸せな日々を送っている俺だが、今、物凄い後悔していることがある。
実は、今日、気になっていた大学の後輩の女の子を映画に行かないかと誘ったのだが、
「顔が無理です」
と、即答されてしまったのだ。
…死にたい。ビルの壁に頭を打ちつけた。
何?そんなことで死にたいなんて言うなだって?
お前らは顔が無理と好きな子に言われたことがあるのか?
…嗚呼、何処か遠くへ行ってしまいたい…
そうだ、排水口にでも入ってしまおう。
俺には下水がお似合いさ。
そう言いながら、近くのマンホールへ飛び乗った。
…上から落ちてくる鉄骨にも気付かずに。
ガシャーンと、ものすごい音が鳴った。
周りの人達は、その音でこちらを向いた。
そしてその下にある俺に向かって視線が注がれる。
ものすごく痛いような、あんまり痛くないような、不思議な感覚が、お腹より下を支配している。
(…痛いな…)
それ以外に感想は出てこない。
周りの人達の動きは全くない。
(人がぶっ倒れているってのに、ひどいなぁ。)
まっ、知らない人が倒れてても気にしない人もいっぱいいるか。
そう自分を納得させた。
(さて、起きないと迷惑だな。しかしこれ骨折れてるよなぁ。病院いかなきゃ。)
そこまで考えて、ふと違和感に気づく。
身体が動かせない。
仰向けに倒れているため、身体が見れない。
(おい、もしかしてシャレにならないんじゃねえの?)
なんとか首を動かして腹のあたりを見ようとした。
そしてその瞬間、周りからものすごい叫び声が聞こえた。
(ずいぶん反応が遅いなぁ)
そうしてなんとか腹が見えた時、絶句した。
鉄骨が落ちてきたのは腰のようだ。
まるでトマトを壁に投げたかのように真っ赤だ。
骨は折れてるどころではない、ぐちゃぐちゃだ。
それを見た瞬間、痛みが急激に込み上げてきた!
(いてええええええ!!)
やばい、死ぬ!痛い、助けて!死にたいって言ってごめんなさい!やっぱりいきたいです!助けて!
痛みによって暴れ出す。それによってさらに痛みが増す。悪循環である。
1秒が数分にも数十分にも感じるほどの痛み。
しかし死なない。いっそ死んでしまったほうが楽なほどの苦痛を味わい続けた。
体感時間では何時間も経ち、(実際には1、2分程度なのだが)先ほどまでは脳内で叫んでいた俺だったが、そんな気力も無くなった。
(…来世はヒーローになれるといいなぁ)
落ちていく意識の中、彼はそう呟いたのだった。