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第五話 昔の事は・・。
「そして、私は伊達君の事を忘れた・・」
李亜が呟くように言う。
「あの後、遠く離れた公園で私は発見されて、誰かに誘拐された事になっていたの」
「あぁ・・・俺が運んだ」
平然と、頷く迂京。
「記憶が無くて大変だったんだよ。お母さんに怒られても何も分からなくて」
李亜は軽く迂京を睨む。
「すまない」
迂京は軽く頭を下げた。
「ううん」
李亜は首を横に振る。
「本当は、その後李亜にかかわるつもりは無かった・・」
「けれど、お母さん達の時、来てくれたよね」
沈んだ顔の迂京に、ポツリ、と李亜が言う。
「あれは……助けを呼んだだろう?」
迂京は李亜を見た。
「まぁ・・ね」
李亜は下を向く。
「あの時は…必死だったから」
そう、迂京がした封印を解いてしまうほどに・・。