表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/9

プロローグ

プロローグ


紅い、赤い、あかい、アカイ。

あの人が炎に蹂躙されてゆく。

コホ、コホ。

炎のパチパチと爆ぜる音の間から時折聞こえるあの人の咳。

「少しだけ待ってくれ。直ぐ、助けにゆく」

 あの人にだけ届く様、思念波を送る。

「いいえ」

 あの人が首を横に振るのが見えた。

「ありがとう、アスタロト。・・・・・・けれど、私を人間として死なせて下さい」

「だが・・・!」

「お願いです」

 苦しいだろうに、あの人は――戦乙女と呼ばれた少女(ヒト)は微笑みながら言う。

「……分かった」

 自分は、よく知っている。

 あの人がああいう目をした時は、何を言っても無駄なときだ。

 もう、あの人は自分で全て決めている。

 自分に口出しする権利はない。

「本当に、どうも有り難う。アスタロト……そして、さようなら。

 ああどうか、この人達に神のご加護がありますように」

 そして、そのまま少女が物言わぬ骸となるまでアスタロトが見守った。

「来世では、必ず君を護る。……何からも、誰からも」

 そしてその場から掻き消えた。

 そう、まるで初めから存在などしていなかったかのように。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ