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声はしとどに  作者: 芥
6/7

6話

おはようございます、芥です。


今日とても良いことがありました。本当に良いことでした。もっと頑張ろうと思えました。

それだけです(笑)


それでは6話、最後までお付き合い下さいませ。

次の日。

味噌汁のにおいで目が覚めた。こんなにも健康的な覚醒ができるとは驚きだ。下へ降りると、お母さんが台所に向かって立っていた。私が降りてきたことに気付くと、手を止めて振り返って言った。

「おはよう海。早いのね」

「おはよう。自分でもビックリしてる」

「だってまだ5時半なのに」

「5時半!?」

時計を見ると、確かに5時半をそれぞれの針がさしていた。いつもは6時過ぎに起きている。

「そういう私も、ちょっと張り切り過ぎちゃってもう起きてるんだけどね」

「そうだね、確かに早い」

「いやあ、その日のうちに寝れるって最高ねー」そう言いながら、また包丁を動かし出した。何気ない一言だが、本当に嬉しそうにお母さんは笑みをこぼしていた。日頃の忙しさが改めて窺える。

「せっかくだからもう食べちゃいなさい。今からお弁当も作るからね」

「うん、ありがとう」と言いながら、私も私なりに、朝起きたら母親が台所にいるという幸せを噛みしめていた。


せっかく早起きしたので、そのままいつもよりも早く登校することにした。同じ朝でも、30分違うだけで空気が全く違う。囀っている鳥の種類も違う。交通量も歩いている人も、私の知っている朝ではない。まるで別世界に来たかのようだ。でも、こういう朝もいいなと思った。

おばあさんが前から歩いてくる。

「おはよう、ございます」と挨拶してみた。すると、おばあさんはにっこり笑って、

「おはよう。お姉ちゃん早いわねえ、今から学校?気を付けていってらっしゃいね」と返してくれた。

「はい、ありがとうございます」

今日はきっと良い日になる。そう思った。


学校に着いた。校舎はしんと静まり返っている。これが、私の知っている朝の30分前の朝か。私だけの足音が、静かに廊下に響く。

これはもしかすると一番乗りなのではないか、と少しわくわくした。しかしその思いは、すぐに驚きへと変わることになる。

教室の電気が点いていた。誰かいる。こんな朝早くに?誰が?

教室に向かいつつ廊下から教室を見てみようと試みたが、人影はない。廊下側の人間ではないのか。誰だろう。

教室に足を踏み入れようとした時、中にいた人と目が合った。私の隣の席、7番くんだった。彼も驚いた顔をしていた。

「お、おはよ、う…」

何故か、しどろもどろになりながら挨拶をした。すると7番くんも口を開けて何か言っていた。多分「おはよう」とかそこらへんの挨拶だとは思うのだが、やはり聞き取りづらかった。

「いいよいいよ、無理して言わないで」

7番くんは少し寂しそうな顔をした。あ、今の発言はまずかったのかもしれない、と少し後悔した。

そして私も席に着いた。リュックから教科書や筆箱を取り出し、机の中へ入れる。今日してくるべき課題も終わっており、早速手持ち無沙汰になった。教室内を見渡し、何となく窓を開けたくなった。

「ねえ、窓開けてもいい?」

7番くんに聞いてみた。すると、

「…んっ」と頷き、7番くんも自分の席の近くの窓を開けてくれた。

まさか一緒に開けてくれるとは思わなかったので、驚き、そして嬉しくなった。

「ありがとう」そう言いながら、私も前の席の方の窓を開けた。ふわっと風が入り込んできた。春の30分前の風は、私の頬を優しく撫でる。7番くんを見てみると、彼もまた、入り込んできた風に吹かれて目を閉じていた。本当に気持ち良さそうな横顔だった。

「風、気持ちいいね」

7番くんは目を開けてこちらを向いた。

「…っ」

昨日見たあの笑顔が、そこにもあった。

そして私達は、優しく笑い合った。

お読み頂きありがとうございます。


声が出せない悠馬の吹き出しを、字面で表現するのに大変手こずっております。こんなんじゃないっ、音声はこんなのだ!と、毎度毎度思っていて、私の中ではちゃんと思い通りに再生されているのですが、読者様には絶対に伝わってないだろうなーと…

とにかく息が多めです。「くすっ」と無声音で笑う感じで、相槌とか言葉とかの何もかもが構成されています。(伝われ…ッ)

そして、声には出せていない分、なるべく悠馬の描写を丁寧に出せるよう意識しています。


語彙力増やさねば。

それでは、また次回お会い致しましょう。

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