5話
おはようございます、芥です。
…誤字が多いですね。本当にご指摘助かっております、ありがとうございます。
最近、狂気的な大笑いをする練習をしています。うるさくならないように枕に口を押し当てて叫びながら笑っているのですが、何やってんだろうと我に返るとなんか負けた気分になるので、シュールさは気にしないように頑張ってます。
それでは、しばしお付き合い下さいませ。
やっと放課後になった。教室内は1日が終わった解放感からか、やけに賑わっている。まだ部活を決めていない人が大半なので、各々だらだらと過ごしている。
ふと左を見てみると、7番くんは7限目の数学Iのノートと教科書を広げて何か書いていた。まだ書いてるんだ。そろっと横目で覗いてみると、今日最後に学んだページよりも3ページも前を開いており、そこの練習問題を書き写しているところだった。授業に追い付いていなかったのか?黒板に目をやっても、既に週番によって消されていた。
良かったら私のノート見る?と言おうとしたが、三人の女子と二人の男子に先を越された。
「ねえ内海くん、今から予定とかある?」
7番くんははっと顔を上げて、今書いていたページを捲ってシャーペンを走らせた。何を書いているかはさすがに分からなかったが、ああでもきっとこの人たちと何かするんだろうなと思い、ノートのことは言わずに私は席を立った。
校門に向かって歩いていると、マウスピースだけでヴーと吹いている音と、チューナーのポッポッポッポッというメトロノームに合わせてタカタカとスティックを叩いている音が聞こえてきた。そして、まだ楽器の音色とは言えぬ完成されていない音の上に、野球部の掛け声が重なり、床をキュッと鳴らすバスケ部のシューズの音が重なる。高校の放課後というのは、部活の音で成り立っているのだと知った。
部活かあ、何かしらには入りたいな…
家に帰り着くと、珍しくお母さんがいた。段ボールが二つと、その周囲に物が散らばっている。
「あらおかえり海、中学の時より早いのね」
「ただいま。だって部活してないし」
「何か入らないの?」
「まだ部活見学もしてないしね、何とも」
「部活くらいは入りなさいよ、海。あんたは部活くらいでしか青春を味わえないんだから」
余計なお世話である。娘をなんだと思っているんだ。でも確かに、昼休みに一人で食べているというのは、そういう案件に入らなくもないのかもしれない。私ってこのままだとまずいのか?と今更思いながらリュックをリビングの隅に置き、冷蔵庫を開けて麦茶を取り出す。
「あ、そうだ海、このグラスあげるわ」
「おー、キレイじゃん」
全体的に凹凸のあるグラスは、きれいな群青色をしていた。光に当てると凹凸の影響で屈折し、それは快晴の空を連想させた。
「でしょ。キレイだなーって思って買ってたんだけど今後も使いそうにないから、海にあげるわ」
「ありがとう。で、家にいるってことは何かあるの」
お母さんが動かしていた手を止めた。
「さすが、冴えてるわね」
「いや、今までもこういうのあったから」と言って、今もらったグラスに麦茶を注ぐ。
「まあ海の察している通り、しばらく帰れなくなるから」
「お父さんも?」
「そうなの。今度大きなプロジェクトを担当することになってね、お父さんも私もそのメンバーなのよ」
「大変そうだね」
麦茶を飲む。よく冷えていた。
「本当、忙しくなるのよ。会社に泊まり込むだけじゃなくて、しょっちゅう出張に行かなきゃならないみたいで」
「しょっちゅうしゅっちょう」お母さんの言った言葉並びが面白かったので、自分でも言ってみた。
「どれくらい?」
「それが、最低でも2ヶ月らしくて」
「2…!?」
「そうなの、長くない?その間ずっと海を一人にしておくのが心配なのよね」
「…私は大丈夫だよ」
「そうは言っても…」
「そうは言っても、大事な仕事じゃん。高校生だしもう大丈夫だよ」
「本当?一応、近くの親戚には声をかけておくから何かあったらその人たちに頼ってね」
「うん」
そんなに大きなプロジェクトなのか。両親はいつも忙しそうにしていたが、もっと忙しく大変になるんだな。
「いつから?」
「来週からなの。だから逆に、今週は準備期間ってことで毎日このくらいにはもう家にいるからね。久しぶりに手作りの晩ご飯を作るわ」
「それは楽しみだね」
そしてお母さんは、私に銀行の通帳とカードを渡した。私の名義で口座を作ったらしい。家に帰れないので生活費を振り込むためだ。
来週か。確か入部届には親のサインが必要だったはずだ。今週中に決めなければなと、少し焦り出した。
お読み頂きありがとうございます。
高校の設計図としては、「エ」の形をイメージしています。真ん中の線が渡り廊下というか、二つの棟をつなぐ連絡通路になっていて、そこに食堂とか購買とか昇降口があります。昇降口を出るとコの字型になり、右側に音楽室、左側の校舎のむこうにグラウンド、斜め前に別棟で体育館があります。どこから何部の音が聞こえているのか、想像出来たでしょうか。
毎度、拙い文章ですみません。
それでは、また次回お会い致しましょう。