3話
おはようございます、芥です。
(今のところ)順調に3話が出来上がりました。そういえば前回の2話、短かったですよね(笑)大まかなストーリー構成は練っているのですが、細かい展開はその都度書きながら考えているので、文章量は結構バラバラです。あと、え、ここで切っちゃうの?みたいな。
ま、まあその、素人の趣味ということで…ね。
是非とも、寛大な心でお読み下さいませ。
午前中の授業が終わり、昼休みになった。高校生になったという新鮮さから、授業を真面目に受けてみようではないかと意気込んだ一週間前だったが、それから一週間後の今は何とか眠気に耐えている感じである。クラスの中には既に睡魔にやられた人もチラホラいて、授業終わりの号令にも気付かずそのままうつ伏せになっている。
私は教科書や筆箱を机の中につっこみ、それからリュックの中に手を突っ込んで財布をまさぐった。今日はパン気分だな。
私の両親は共働きで、朝早くに家を出て夜遅くに帰ってくる。もうしばらく、まともに顔を合わせていないのではないだろうか。ということで、毎朝、朝食と一緒に500円玉が一枚置かれている。母親は弁当を作れないことを気にしているが、別に弁当への感情もないし、いざとなれば私が作るから大丈夫だと言って、昼食代を貰っている。たまに1000円札が置かれていることもあるが、その日は家に帰って来ない合図だ。では夜ご飯はどうしているのかというと、家にある食料を適当にあさって食べるか、昼ご飯を節約して夜にまわすか、もしくは食べない。中学生の頃からずっとそうだったので、可哀想という目を向けられても別段気にはしない。家族とのコミュニケーションもずっとなければ、こうやって感情も麻痺していくのだろうか。
もしも弁当を毎日持っていたなら、今頃は友達と話しながら食べていたのだろうか。そんな、あまりらしくないことを考えていたら購買に着いた。
購買は生徒で賑わっていた。近くのパン屋から昼前に運ばれてくるパンにはもちろん数に限りがあり、我先にと戦場のようだ。ちらりと隣の食堂に目をやると、購買よりも混んでいなかったのでそちらに並ぶことにした。教室にいた時には確かにパンを受け入れる腹だったのだが、こうしてにおいが鼻腔を通るとカレーライスの腹になるので不思議である。
「すみません、カレーライス1つ下さい」
「はーい、大盛りにする?」
「いや、普通で大丈」
「じゃあ370円ね」
「普通」で止めておけば良かったなと思いつつ、500円玉を出す。と同時に130円が手のひらに乗っていた。
「受け取りはあっちからねー、はいありがと」
せっかちとかではなくて、ただ単に熟練の賜物とでも言うのだろうか、とにかく無駄のない動きだった。牛丼屋よりも回転率は高いかもしれない。
カレーライスを受け取り辺りを見回す。席はそこそこ空いていたので、そのまま隅の方で食べることにした。プラスチックの器にプラスチックのスプーン。いかにも学食という感じだ。半分ほどスプーンを口に運んでから、水筒を持ってくれば良かったなと少し後悔する。あとで自販機に寄ろう。
器とスプーンをごみ箱に入れ、食堂を出た。歩きながら購買をちらと覗いてみたが、ショーケースにはスーパーにも売っているような菓子パンとおにぎりしか残っておらず、人気のパンは全て跡形もなく消えていた。まざまざとパン屋のパンの魅力と偉大さを感じた。
食堂と購買を通り過ぎると渡り廊下に出る。そこに3台の自動販売機は設置されている。そのうちの1台は、カロリーメイトやinゼリーを売っているひと回り小さいサイズの自動販売機で、男子や部活生がこぞって買っている印象がある。
自動販売機のある方向から出てきて、そのまますれ違った二人の女子の先輩は、いちごみるくのパックにストローを突き刺しているところだった。いちごみるくの甘ったるさを想像しただけで、若干悪心が押し寄せる。
ペットのお茶を買おうと自動販売機の前に立つと、隣のパック飲料の自動販売機の前でオロオロしている人がいた。なんか見たことあるなと思っていたら、隣の席の7番くんだった。
お読み頂きありがとうございます。
場所の描写を書くにあたって、読者様もさることながら私自身もイメージしやすいようにと、実在する建物のつくりを想像しながらそこにキャラクターたちを配置しています。とは言ってもまだ20年も生きていない経験値ペラッペラな作者なので、校舎の設定は母校の高校のつくりを参考にしています。
頑張るぞ。
それでは次回、またお会い致しましょう。