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星刻のレコンキスタ 作者:黒蜜柑

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ペテン師の証言

「私は予言する。近い将来、地球は滅びへの道を行くだろう」

 はるか昔の出来事。大勢の天文学者が出揃う大ホールの教壇の上に立って、俺は高らかにこう宣言した。

 結果は満場一致の”ペテン師野郎!”のシュプレヒコール。
 しかしこれはまだ可愛い方で、”こんな最悪な父親の下に育てられた息子が可哀想”と卑下する奴だっていた。

 そりゃそうだよ。だって俺は最低最悪の天文学者(ペテン師)
 普通に過ごしていれば誰だって信じることのない事実を、俺は知っているのだから。

 ◇

「人間でありながらこんな無茶を。そこまでして人間を救いたいとでも思っているのか?」

 満身創痍の自分に向かって、()は嘲笑ってみせた。

「欲望、憎悪、絶望しかない世界。我は民を救うべく、一度この宇宙を滅ぼし再生を試みようとしている。それなのに何故、貴様は我の邪魔をする?」
「そんなの決まっている……俺は……俺はこんな()()()()()()()()を愛しているからだ……!」

 身体の至るところから真っ赤な血が流れる。動く度に全身を駆け巡る”痛み”を堪えながら、俺は再び矢を構えた。

「(頼むシリウス。もう一度。もう一度、俺に力を貸してくれ……!)」

 最後の力を振り絞り一矢を放つ。”シリウスB”の如く真っ白い光を帯びながら放つ矢は、神の許へと向かっていく。
「シリウスの加護、か。ならば我も本気を出さねばならぬか」
 ()は静かに辟易しながら黒い衝撃波を俺に向かって繰り出した。

 そこにあったのは底なしの闇。あらゆる万物全てを飲み込む混沌がそこには広がっていた。
 一度飲み込まれてしまえば誰も助からない最悪で無慈悲な()()が、少しずつ自分に迫ってきている。

「なっ……!?」

 それを見た俺は思わず言葉を失い、身動きもできずに立ち止まったまま見ていた。

「透、ごめん。俺、父親として失格だわ」
 足のつま先から徐々に闇に浸食されていくのを感じながら、地球(向こう)に置いてきてしまった一人息子の無事を祈った。

 己の意識は闇へ溺れていく。
「何があっても、最期まで生き抜け」と、強く念じながら――――。
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